■掲示板に戻る■ 最新50 全部 1-
101-
201-
自分嫌いが直らない
1 名前:依緒:2008/04/27 15:46 ID:OawBdTvQic IP:210.136.161.148(docomo)
-
自分が大嫌いです。
そのくせに自殺するのは恐いんです。
最近は鬱気味のせいで
暗い人間だっていうことが部活友達にもばれて
みんなどんどん離れて行ってしまいました
クラスでもあぶれてしまい、仲のいい友達は別の人にとられてしまいました
気がつくと独り
いつだってひとり
孤独が堪らなく怖くて死にそうになるくせに、誰も私をそばにおいてくれません。
明るいいつものわたしが維持できれば、みんな話しかけてくれるのに
もうそれができません
独りは寂しいです
人に頼らないと生きている価値を見い出せない自分が憎らしいです
わたし
どうしたら…
2 名前:咲き:2008/04/27 15:58 ID:a3ijAH.SFM IP:219.125.145.61(ezweb)
-
私も前まではそうだったけど、高校に上がったらだいぶましになったよ。
依緒さん、学生?
3 名前:依緒:2008/04/27 16:10 ID:FkSr.c7W8Q IP:210.153.84.37(docomo)
-
学生です。高校2年になりました。
高校1年生の時の毎日は信じられないくらい楽しかったです。中学1、2年といじめられて過ごしたことを忘れさせてくれるくらい。
仲間がたくさんいて、でも今は
仲間からあぶれちゃって…
4 名前:咲き:2008/04/27 16:16 ID:N1Nt2z6XCw IP:219.125.145.66(ezweb)
-
え!?なんでそうなっちゃったの?
私今高1で毎日が楽しいんだけど。
5 名前:都築:2008/04/27 17:53 ID:FIrHa.ftS2 IP:59.171.133.49
-
>>1
>人に頼らないと生きている価値を見い出せない自分が憎らしいです
じゃあ、頼らなきゃ良いじゃん。
そもそも、「生きる」ってことに「価値」なんかねーよ。
価値があってほしいな、なんて駄々こねるなら、「成功」でもつかめ。な?
仲間、仲間って、どうしてべちゃべちゃ引っ付いてないと気が済まないわけ?
6 名前:黒姫:2008/04/27 18:02 ID:hPErTbNkII IP:60.237.84.135
-
少し言い方きついかもしれませんが
はっきり言って
人の友情ってのは
長くは続きません。
言葉では、信頼・友情などと
言ってのけますが
現実を見てください。
必ずしもそうじゃ無いでしょう???
所詮人間は、自分が可愛くてしょうがない
生き物です。
だから、最後に信じるのは自分しか居ないんだから
好きとか、嫌いとか言ってられないと思いますよ。
実際、私も自分のことは大ッ嫌いですが、
自分以外信用できるはずも無いので
ちょっとでも、自分を好きになるように努力してますよ♪
ぐちゃぐちゃな文ですいません。。。
7 名前:都築:2008/04/27 18:07 ID:FIrHa.ftS2 IP:59.171.133.49
-
人間は、嘘をつきます。
人間は、約束を破ります。
人間は、自分の都合が第一です。
人間は、他人の気持ちをわかりません。
人間は、限界ある想像力しか持ち合わせていません。
どれもこれも「信じられる」ことだな。
なんで逆の事を「信じる」のか、俺様には理解しかねる。
8 名前:黒姫:2008/04/27 18:12 ID:hPErTbNkII IP:60.237.84.135
-
同感です。
9 名前:優梨華:2008/04/27 18:14 ID:yFRqyYuJbM IP:219.203.146.157
-
私も同感です
10 名前:名無しさん:2008/04/27 18:20 ID:FpSkfI0Hu. IP:118.12.10.149
-
じゃあ私も同感です。
11 名前:都築:2008/04/27 18:43 ID:FIrHa.ftS2 IP:59.171.133.49
-
じゃあ、ここで俺様が遺憾を唱えるわけですよ。
>>7
人間は嘘をつくとのことですから、
>>7の内容も嘘である可能性が存在する。
12 名前:依緒:2008/04/27 18:56 ID:Bk0GBBPUUo IP:210.153.84.129(docomo)
-
私だってできるなら格好よく、人に頼らず自分だけを大切に生きていける人間になりたい。
でもできませんでした
今まで何度やろうとしても価値観は変わってくれなかったです。
皆さんおっしゃる通り、
「何が不満なんだ。自分次第だ、しっかりしろ」
と言われる様な情けない生き方をしています。
馬鹿な人間です。
未練たらしい人間です。
自分のことですから、よく分かってます。
だから大嫌いです。
13 名前:fairy:2008/04/27 19:04 ID:3u.mO8fwpE IP:220.102.149.64
-
え?
誰も格好良くないんだな。
ただ、あなたから見て格好良く?
見える人は頼る、頼り方が、うまいかもしれんな
14 名前:都築:2008/04/27 19:08 ID:FIrHa.ftS2 IP:59.171.133.49
-
いやぁ。俺様は、
かっこ悪くても良いから、
他人を最大限に利用して生きてゆく人間になりたいなぁ。
15 名前:カズラ:2008/04/27 19:20 ID:RjCjxx9VCA IP:59.143.192.194
-
>>12
頼るというかあれですよね?関わりを持っていたいですよね?
必要とされたいし、必要としたいとかそういう色々な気持ちを「頼る」と言ってるんですよね?
今時間がないのでこれにして失礼ですが、大体みんな孤独など好きじゃないし、それを感じている人は悩んでいるものですよ。
自分の事嫌いにならないでくださいね。孤独は私も怖いと思うと思いますからね。一緒です。でも自分が嫌いではありません。
またあとで!
16 名前:咲き:2008/04/27 23:53 ID:8nE2o91lxo IP:219.125.145.91(ezweb)
-
依緒さん。君が格好いいと思ってたって。そいつにだってなにか弱みがあるかもしれない。悩みがあるかもしれない。気付いてないだけかもしれない。…自分でなにいいたいのかいまいち分からないけど、そういう事だ。
17 名前:名無しさん:2008/04/28 03:44 ID:3Oj3Q3nwUI IP:116.80.242.76
-
>>1
与えるものが無いと与えられないと思います。
あなたが自分を嫌っているいじょう。他人があなたを愛してくれますか?
18 名前:名無しさん:2008/04/28 03:50 ID:3Oj3Q3nwUI IP:116.80.242.76
-
自分で自分を好きに成る事では?
自分が嫌いな自分を好きになってくれる人はいません。
19 名前:名無しさん:2008/04/28 03:58 ID:3Oj3Q3nwUI IP:116.80.242.76
-
まず自分に自信をつけることです。勉学でもスポーツでも何でもいい
自身に自信をつけることそれが地震を起こすのです。
だじゃれカキコしました。ノシです。
20 名前:依緒:2008/04/28 07:32 ID:S65nXzaum6 IP:210.153.84.131(docomo)
-
今気付いたことで独り言みたいなもんなんですが
誰かに必要以上に依存してしまう性格は
昔転校生として長々いじめられたせいで、自分と一緒にいてくれる友達が異常なほど欲しくて
一人でいることを周りの人間から笑いものにされるのが死ぬ程辛くなってしまったことが
今の性格の根底にあるんだな、と。
自分磨きですか。
自分の誇れるものって、どんなものでもいいんでしょうか?
21 名前:黄色:2008/04/28 08:11 ID:fRVYOqlVTs IP:203.213.183.211
-
誇れなくとも、自分が夢中になれる何かを見つけられたら良いですね。何でもいいんです。
22 名前:カズラ:2008/04/28 21:17 ID:IvcxMWH6ao IP:59.143.192.194
-
中途半端な書き込みで失礼しました。
>>20
必要以上に依存してしまうのは昔の出来事がそうさせていると思ったんですね。
せっかくの友達を離したくない、もう同じ思いはしたくないという思いがそうさせているのでしょうか。
依緒さんは特に情けないようには見えませんが、情けないとしてもそういう時期があってもいいし、それが嫌だという思いがあればずっとそのままではいないですよ。
今、鬱なんですよね?どれくらいの状態か分かりませんが、尚更思い通りにならない状態になってますから、まずは自分をあまり追い詰めずにいることが、いつもの明るい依緒さんに戻る最短距離だと思います。
好きな事をするのも良し、自分が憧れる人などの生き方を目標にして、何が必要か考え行動してみるも良しだと思います。
ちなみに私も学校で1人になった時がありましたが「どうせ1人なら1人で楽しめる事をしよう!」と、毎休み時間教室で国語辞典を見ていました。それなりに楽しかったですよ。そんな事をしていたら違う友達が遊びに誘ってくれるようになりました。
23 名前:依緒:2008/04/29 18:58 ID:VCGI1w5oS6 IP:210.153.84.132(docomo)
-
>カズラさんありがとうございます。すごく心が温かくなりました。
最初にスレ立ち上げた時よりだいぶましになりました。
なんというか
精神的にだいぶ落ち着いてきました。
また自分自身の心情整理なんですけど…
今日も部活では仲間はずれになり、朝から気分はどん底でしたが
時間がなくて最近はやっていなかった大好きな水彩画を久々に描いたら気が楽になって、
本屋さんでデザイン集なんか見てみたりして
久々に一人だけど充実しているような気分になりました。
将来美大に進学するつもりで、学校でも美術専門を選択しています。
仲間の輪の中だけが居場所だと過ごした一年だったけど、自分の居場所って案外どこにでもあるし
ほんとの自分を取り戻したら、周りの人達を見返せるよう頑張ってみようって
今、そんな気持ちです。
24 名前:咲き:2008/04/29 19:53 ID:nEQRfTKdGk IP:219.125.145.73(ezweb)
-
依緒さん、やっぱり自分の興味のあることをするのが最高のストレス発散法だからね。私も今一番成りたいと思っている職業につくため、大学に行くつもりなんだ。共々頑張ろうね(^_^)v
25 名前:カズラ:2008/04/30 02:09 ID:rhPDYJoWJM IP:59.143.192.194
-
ましになったのですか?それは良かった^^
嬉しいです。
そうですね。急に気持ちの整理がつくなら、この世に悩みなど存在しないでしょうしね。ゆっくり整理しながら出来る事を少しずつでもするしかないような気がします。時期がくれば答えは勝手に出るような気がしますしね。
仲間はずれは気持ちが落ちますね。私も、もういいや、独りで!と思うまでは気持ちが落ち込んでいた気がします。いや、独りでいいや!って思っても、出来れば独りじゃない方がいいなぁってありましたけどね。正直なところ。
おお!趣味どころか目標がありましたか!それは心強いですねぇ^^
私も昔イラストなんか描いてた時期はありまして、画材屋で画材見てるだけで楽しかった記憶があります。
水彩画、いい趣味ですね。
居場所はあります。ここでいいと思ってしまえばそこが居場所です。それが理想の形ではないとしても、当座そこに居てやれることをやりながら、理想の形に持っていくにはどうしたらいいかなぁとゆっくり考えながら過ごしてみる。そんな時間が長い人生の中にはあってもいいんだと思います。そういう時間も無駄にはなっていないから、焦らなくてもいいと思いますしね。・・・まあ、焦ってしまうものかも知れませんけど。
本当の依緒さんになったら巻き返しですよね♪
また何か書きたい気持ちが湧いてきたら、話してくださいね。
26 名前:fuwari:2008/05/05 04:30 ID:lkBpbjWyY6 IP:124.208.110.158
-
じぶんをあるがままうけいれるしかないですね。
ウツを乗り越える課題は、そこにあるような気がしております。
例え、暗くたってイイじゃない。ダメなじぶんでもイイじゃない。
趣味を想いだして、熱中すると忘れられないかしら?^^
27 名前:すてるす:2008/05/05 04:44 ID:SRC2RJte5E IP:116.80.242.76
-
>>1
よこやりすみません。
http://jp.youtube.com/watch?v=0SzvijfC5-0&feature=related
28 名前:すてるす:2008/05/05 04:56 ID:SRC2RJte5E IP:116.80.242.76
-
>>1おすすめ図書。ブックオフなんかだと1冊100円で売ってたりします。
1996年09月 「水に似た感情」 集英社
1989年12月 「お父さんのバックドロップ」 学習研究社
2000年05月 「バンド・オブ・ザ・ナイト」 講談社
29 名前:すてるす:2008/05/05 05:09 ID:SRC2RJte5E IP:116.80.242.76
-
>>1
あなたは一人ではありません。
30 名前:依緒:2008/05/05 14:27 ID:68Otcs6RQU IP:210.136.161.150(docomo)
-
>>すてるすさん
紹介ほんとにありがとうございます。参考になります。
明日図書館に行ってみようかと思います。
久々に書き込みにきました。
情けないことに、最近はまた鬱気味になっています。でも前よりは暗い顔しなくなりました。
一人の時間も、絵の勉強や買物に行ったりして、それなりに楽しいです。
自分のことは嫌いじゃないです。恥ずかしながら、よく頑張ってるって思ってますから。
でも部活は、一人でも練習がんばろう、と思いながらも、やっぱり誰から声をかけられない生活は悲しいような、です。
こうなったのは自分の責任もあるけれど
割り切れないし、まだ胸に何かつっかえているようで苦しいです。
今の状況になった理由を、仲間うちの人にメールして探ろうかと考えてます。
辛くて退部するにしても、理由も分からないこのままじゃ、すっきりしないと思うので。
31 名前:すてるす:2008/05/05 14:54 ID:SRC2RJte5E IP:116.80.242.76
-
>>30依緒さん
>自分のことは嫌いじゃないです。恥ずかしながら、よく頑張ってるって思ってますから。
>こうなったのは自分の責任もあるけれど
>理由も分からないこのままじゃ、すっきりしないと思うので。
ガンバってる人にガンバってて言えませんけど・・・。
とりあえずお茶でもどうぞ♪
∧〃∧
(・ω・` )
~旦~旦 ~旦⊂ ヽ
■■■■■ )
■■■ ∪∪
32 名前:すてるす:2008/05/05 15:06 ID:SRC2RJte5E IP:116.80.242.76
-
>情けないことに、最近はまた鬱気味になっています。
情けないこと?それは無い。情けないこの世でそれを感じる感性は正常の理解です。
33 名前:カズラ:2008/05/05 15:10 ID:NOoBOb1Sjs IP:59.143.192.194
-
依緒さん、久しぶりです。
あ、また情けないって言ってる!
>割り切れないし、まだ胸に何かつっかえているようで苦しいです。
そうですよね。そんなに割り切れるものではないと思います。存在を否定されていると感じる事に本当に慣れる事が出来る人がいるのかどうかと言ったら、いないような気がしますよ。
理由を聞こうと思うんですね。すっきり出来るといいですね。思いが届くともっといいですよね。
∧〃∧
(・ω・` )
~旦~旦 ~旦⊂ ヽ
■■■■■ )
■■■∪∪
34 名前:依緒:2008/05/05 16:58 ID:YZm7KiOZv2 IP:210.136.161.45(docomo)
-
>すてるすさん、カズラさん、ありがとうございます(;_;)
カズラさんはお久しぶりですね。いつも温かいお言葉に感謝しています。
今日もそうですが、書き込みにきて本当よかったなぁと思います。
一人考えてたら、「はっきり理由聞こう」なんて気持ちにならなかっただろうし…
夜になったらメール送ってみます。返事がくるといいんですけど
お茶どうもです
イタダキマス(u_u)ノ~旦
35 名前:fuwari:2008/05/05 17:45 ID:lkBpbjWyY6 IP:124.208.110.158
-
ありのままのじぶんを認めうけいれ、
できることとできないことの判断を冷静にしつつ、
症状と折りあいをつけて、共存してゆけますように*
みなさまの平和を、ただひたすら祈っております^^*
ピースv
36 名前:すてるす:2008/05/05 17:55 ID:SRC2RJte5E IP:116.80.242.76
-
依緒さんゆっくり行きましょう。
Imagine
http://jp.youtube.com/watch?v=jEOkxRLzBf0
37 名前:すてるす:2008/05/05 18:02 ID:SRC2RJte5E IP:116.80.242.76
-
イマジン
想像してごらん 天国なんて存在しないと
想像しようとすれば簡単だよ
僕達の下に地獄なんて無いんだ
ふり仰げば空があるだけさ
想像してごらんすべての人々が
現在を生きているんだと…
想像してごらん 国境なんて存在しないと
そう思うのは難しいことじゃない
殺す理由も、死ぬ理由もない
宗教なんてものも存在しない
想像してごらん すべての人々が
平和のうちに暮らしていると…
38 名前:すてるす:2008/05/05 18:03 ID:SRC2RJte5E IP:116.80.242.76
-
僕のことを単なる夢想家だと思うかもしれない
でも、僕ひとりだけじゃないんだ
いつの日にか 君も仲間に加わってくれよ
そうすれば 世界はひとつになるだろう
想像してごらん 所有なんて存在しないと
君にもそういう考えができるかしら
貧困になったり飢えたりする必要はない
兄弟同志なのだから
想像してごらん すべての人々が
この世界を分かち合っているのだと…
僕のことを単なる夢想家だと思うかもしれない
でも 僕ひとりだけじゃないんだ
いつの日にか 君も仲間に加わってくれよ
そうすれば、この世界はひとつになって動くだろう
39 名前:すてるす:2008/05/05 18:23 ID:SRC2RJte5E IP:116.80.242.76
-
連投すいません。
40 名前:都築:2008/05/06 02:59 ID:ODMeH.j4.g IP:219.108.11.204
-
>>39
謝るべきは連投ではないだろうが。
他人様の創作を投稿した事だ。
テメエの意見を書け。ここは掲示板だ。
41 名前:カズラ:2008/05/06 11:37 ID:BhEVwSwvpM IP:59.143.192.194
-
昨夜はメールしてみましたか?いい返事が来ているといいのですけど。
42 名前:依緒:2008/05/06 22:41 ID:W0Ycavl1xM IP:210.136.161.139(docomo)
-
こんばんは。
今日にかけて書き込みしてくださった方々、ありがとうございますm(__)m
昨夜メールしてみました
「他の子はどうか分かんないけど、あたしは依緒のこと、嫌いじゃなかった。ごめんね」
という旨のメールが返ってきました。その後、寝るまでメールやり取りしました。
知らない間に周囲気を遣わせてしまっていたような
、そんな感じみたいです。
人一倍孤独を感じるせいで、孤独になりやすい雰囲気があるのかも。
自分に自信がないとき、周囲にもそう伝わってしまうもんですね。気をつけたいです。
焦らずゆっくりいきたいですね。
43 名前:カズラ:2008/05/07 09:39 ID:d63ppizPPY IP:59.143.192.194
-
あ、良かったですね!
個人的に話してみるとそんなもんだと思います。イジメとかシカトとかって勢いみたいなところが多分にあると思うから。
>自分に自信がないとき、周囲にもそう伝わってしまうもんですね
これ、ありますよね。
私がやり取りをしていて思うのは依緒さんは、人に嫌われそうな要素がない。きっと昔のイジメはたまたまだったんだと思います。イジメていた方の話に「なんであんな事をしていたのか、自分でも分からない」と言う人がいます。
依緒さんに原因があったんじゃなかったんですよ、きっと。そう思います。
元気の出ない日は「やべ、今日鬱入っててテンション上がらね〜。うざかったら放置プレイよろしく!」とか軽口叩いてギャグっぽく伝えてしまうのも手ですよ。探らなくて済むっていうのは相手も安心ですからね。キャラじゃない?
44 名前:すてるす:2008/05/07 10:07 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
>>40都築さん
他人の創作でも良いものは紹介してもいいでしょ?何か問題あります?
45 名前:すてるす:2008/05/07 10:13 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
,、 '";ィ'
________ /::::::/l:l
─- 、::::;;;;;;;;;`゙゙''‐ 、 __,,,,......,,,,_/:::::::::/: !|
. : : : : : : `゙'ヽ、:::゙ヾ´::::::::::::::::::::::`゙゙゙'''‐'、. l|
、、 . : : : : : : : : r'":::::::::::::::::::::::::::ノ::::ぃ::ヽ::::::ヽ!
.ヽ:゙ヽ; : : : : : :ノ:::::::::::::::::::::::::/" :: '\-:'、
. \::゙、: : : :./:::::::::::::::::::::::::::::(・ ):: ,...,(・ ):::':、 で ?
r、r.r ヽ 、 /::::::::::::::::::::::::: _ `゙''‐''" __,,',,,,___
r |_,|_,|_,|`ヽ、:::::::::;;;、、--‐‐'''''',,iニ- _| 、-l、,},,  ̄""'''¬-
|_,|_,|_,|_,|、-‐l'''"´:::::::' ,、-'" ,.X,_,,、-v'"''゙''yr-ヽ / ゙゙'ヽ、,
|_,|_,|_人そ(^il:::::::::::;、-''" ,.-' ゙、""ヾ'r-;;:l 冫、 ヽ、
| ) ヽノ |l;、-'゙: ,/ ゞ=‐'"~゙゙') ./. \
| `".`´ ノヽ:::::..,.r'゙ ,,. ,r/ ./ ヽ
入_ノ ン;"::::::. "´ '゙ ´ / ゙、
\_/ //::::::::: {. V
/ / ./::::::::::::: ',
/ / /:::::::::::::::::. ',.
46 名前:カズラ:2008/05/07 10:33 ID:d63ppizPPY IP:59.143.192.194
-
ぶっ。
手が人間。
47 名前:すてるす:2008/05/07 10:36 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
ネコ人間ですから・・・。
48 名前:すてるす:2008/05/07 10:50 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
カズラさんのパンツのつっこみ正直笑いました。。。
49 名前:名無しさん:2008/05/07 15:46 ID:1rIDL1qhsQ IP:202.11.195.206
-
>すてるすさん
>>45とかの絵はAA(アスキーアート)と言うのですけど
場を和ませたりする為に貼るのは別に構わないと思います。
例えば、「お茶下さい」とか言われた時とか。
でも、乱用は控えてほしいです。
携帯からはAAはうまく見えません。
ただの点とかの集まり、つまり言ってしまえば荒らしの投稿となんら変わりありません。
携帯ユーザーの事も気に掛けていただけると有難いです。
よろしくお願いします。
50 名前:すてるす:2008/05/07 16:17 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
>>49名無しさん
解りました。
51 名前:都築:2008/05/07 18:19 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
>>44
なるほど。問題は無い、とそう思うわけだ。
わかった。じゃあ俺様もそうしようかな。
他人様の創作をバンバン投稿しても良いよな?
場の空気を読まず、スレッドの主旨に沿わず、バンバン投稿して構わないよな?
どんなに荒れても、やってることお前と一緒だから、問題ないよな?
答えてみろ、脳足りん。
次から次に他人様の創作を投稿して
52 名前:すてるす:2008/05/07 18:49 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
>>51都築さんKYだと・・・。
反撃にでたな・・・。俺の詩でも読んでみろ!
冷たい雨
雨空 冷たい雨 さえぎる 傘もない。
濡れながら 凍えながら 先行くこと考えてた。
絶望の中から 希望へと その淵を乗り越えようと
あたりは暗くて 前が見えない・・・。
てさぐりで 歩く てはささぐれ立ち あしはもつれ
こころ 休まる時はない。 しかし、 歩みをとめれば
光も音もない この空間に 孤独とともに 朽ち果てる。
夢ならさめてくれ 眼から あついものがあふれてくる。
必要なものはなんだろう、 引き上げてくれるものは無いだろうか・・・。
53 名前:かぎり:2008/05/07 19:03 ID:ma37W/2GqQ IP:122.26.43.249
-
すてるすさん
一応音楽的な仕事をやってる人間からしてみるとですね。。
他人の創作物というものには「著作権」ってのがあってですね、実は紹介であっても勝手にこういった所に書くのはいけない事なんです。
こういう場合は、「ジョンレノンのイマジンという曲の歌詞はグっときますよ」なんていう書き方をすれば問題ないんですよ^^
という事で、都築さんも他人様の創作物を投稿するのは止めましょ〜って分かってると思うけど。
なにもよりも、、僕らが喰いッぱぐれますw
後、詩を読みました。
なかなか景色が目に浮かぶ感じで素敵だと思いますけど、こういうタイプの詩はもうちょっとタイトルを凝ったら引きつけられるかもしれませんねw
例えばぁ。。。語呂の良さで「情調クレバス」とかどうでしょう?
読む側に色んな方向から考えさせる事が出来るようになったと思いません?
思わなかったらごめん><
僕がセンスレス。。。
54 名前:すてるす:2008/05/07 19:12 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
かぎりさん音楽関係の方でしたか別に曲に乗せるきは無く書きました。
レスありがとうございます。
55 名前:すてるす:2008/05/07 19:17 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
ジヤスラックの存在とか知ってますけど著作権て25年まででは・・・。
うる覚えですいません。
56 名前:すてるす:2008/05/07 19:20 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
これは日記です。
『桜と蕎麦』
あぁまた春が来たのか・・・。そう想いながら蕎麦屋の座敷に座る。
すこし肌寒い気もするのだけれど桜はその時期を忘れず今年も咲いている。
蕎麦屋の窓越しにさまざまな桜の花弁を愛でながらいると
やがて蕎麦が手元に届いてくる。
しばらく桜の花弁の絢爛な様を眺めて居たいと思うのだが
しかし目の前の蕎麦がやはり気になってくる。
57 名前:すてるす:2008/05/07 19:21 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
酒の燗はほど良い感じでそれをまたすうーっと胃に通してやる。
さてこれで蕎麦を食べる準備が出来た。
そう思いながら箸を持ち上げる。
それからざるの蕎麦のつゆの器に一度何とは無しに鼻を近づけてみる。
そして落ち着いて魅せるのだ・・・。
かつおぶしの香り醤油の香りその香りを確認しながら
今度は蕎麦を摘まんでこれも鼻先に持って来てその香りを楽しんでみる。
それからおもむろにつゆに浸して口の中に放り込んでやる。
そしてまたひとたびは酒だ。
それから今度はわさびをためしてやろうと箸先にちょいと摘まんで
そいつをつゆの中に浸してゆっくりとかき回す。
そしてまた蕎麦を箸に摘まむとわさびの利いたつゆに浸し口の中に入れてみる。
つーんとした。感覚が鼻先から全身に伝わってくる。
そしてそれから薬味皿のきざみねぎをすかさずつゆにそっと落とし入れてやる・・・。
そして、また、蕎麦を、口の中に、入れてみる。
そうするとまたねぎの風味が鼻をついてくると同時にそばを食む食感と
同時にねぎの食感・・・。
そしてまたひとたびは酒だ。
それにしても桜は咲くものであって散るものでは無い。
否散ることはあってもしかしこうして今年も艶やかに咲いている。
58 名前:かぎり:2008/05/07 19:22 ID:ma37W/2GqQ IP:122.26.43.249
-
著作権はぁ、50年ですね。
あとは細かい著作権も絡みますよ〜^^
詳しくなくてもいんですけど、一応権利は権利だもんで。。
あんまりうるさく言うつもりもないですけども。。
今、イマジンの著作権を誰が持っているかも分からないですしね
59 名前:都築:2008/05/07 19:24 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
伴天連(ばてれん)うるがんの眼には、外(ほか)の人の見えないものまでも見えたさうである。殊に、人間を誘惑に来る地獄の悪魔の姿などは、ありありと形が見えたと云ふ、――うるがんの青い瞳(ひとみ)を見たものは、誰でもさう云ふ事を信じてゐたらしい。少くとも、南蛮寺(なんばんじ)の泥烏須如来(でうすによらい)を礼拝(らいはい)する奉教人(ほうけうにん)の間(あひだ)には、それが疑ふ余地のない事実だつたと云ふ事である。
古写本(こしやほん)の伝ふる所によれば、うるがんは織田信長(おだのぶなが)の前で、自分が京都の町で見た悪魔の容子(ようす)を物語つた。それは人間の顔と蝙蝠(かうもり)の翼と山羊(やぎ)の脚とを備へた、奇怪な小さい動物である。うるがんはこの悪魔が、或は塔の九輪(くりん)の上に手を拍(う)つて踊り、或は四(よ)つ足門(あしもん)の屋根の下に日の光を恐れて蹲(うづくま)る恐しい姿を度々(たびたび)見た。いやそればかりではない。或時は山の法師(はふし)の背にしがみつき、或時は内(うち)の女房(にようばう)の髪にぶら下つてゐるのを見たと云ふ。
しかしそれらの悪魔の中で、最も我々に興味のあるものは、なにがしの姫君(ひめぎみ)の輿(こし)の上に、あぐらをかいてゐたと云ふそれであらう。古写本(こしやほん)の作者は、この悪魔の話なるものをうるがんの諷諭(ふうゆ)だと解してゐる。――信長が或時、その姫君に懸想(けさう)して、たつて自分の意に従はせようとした。が、姫君も姫君の双親(ふたおや)も、信長の望に応ずる事を喜ばない。そこでうるがんは姫君の為に、言を悪魔に藉(か)りて、信長の暴を諫(いさ)めたのであらうと云ふのである。この解釈の当否は、元より今日(こんにち)に至つては、いづれとも決する事が容易でない。と同時に又我々にとつては、寧(むし)ろいづれにせよ差支(さしつか)へのない問題である。
うるがんは或日の夕(ゆふべ)、南蛮寺(なんばんじ)の門前で、その姫君の輿(こし)の上に、一匹の悪魔が坐つてゐるのを見た。が、この悪魔は外(ほか)のそれとは違つて、玉のやうに美しい顔を持つてゐる。しかもこまねいた両手と云ひ、うなだれた頭(かしら)と云ひ、恰(あたか)も何事かに深く思ひ悩んでゐるらしい。
うるがんは姫君の身を気づかつた。双親(ふたおや)と共に熱心な天主教(てんしゆけう)の信者である姫君が、悪魔に魅入(みい)られてゐると云ふ事は、唯事(ただごと)ではないと思つたのである。そこでこの伴天連(ばてれん)は、輿(こし)の側へ近づくと、忽(たちまち)尊い十字架(くるす)の力によつて難なく悪魔を捕へてしまつた。さうしてそれを南蛮寺の内陣(ないじん)へ、襟がみをつかみながらつれて来た。
内陣には御主(おんあるじ)耶蘇(ヤソ)基督(キリスト)の画像(ぐわざう)の前に、蝋燭(らふそく)の火が煤(くす)ぶりながらともつてゐる。うるがんはその前に悪魔をひき据ゑて、何故(なぜ)それが姫君の輿の上に乗つてゐたか、厳しく仔細(しさい)を問ひただした。
「私(わたくし)はあの姫君(ひめぎみ)を堕落させようと思ひました。が、それと同時に、堕落させたくないとも思ひました。あの清らかな魂(たましひ)を見たものは、どうしてそれを地獄の火に穢(けが)す気がするでせう。私はその魂をいやが上にも清らかに曇りなくしたいと念じたのです。が、さうと思へば思ふ程、愈(いよいよ)堕落させたいと云ふ心もちもして来ます。その二つの心もちの間(あひだ)に迷ひながら、私はあの輿の上で、しみじみ私たちの運命を考へて居りました。もしさうでなかつたとしたら、あなたの影を見るより先に、恐らく地の底へでも姿を消して、かう云ふ憂(う)き目に遇(あ)ふ事は逃(のが)れてゐた事でせう。私たちは何時(いつ)でもさうなのです。堕落させたくないもの程、益(ますます)堕落させたいのです。これ程不思議な悲しさが又と外(ほか)にありませうか。私はこの悲しさを味(あじは)ふ度に、昔見た天国の朗(ほがらか)な光と、今見てゐる地獄のくら暗とが、私の小さな胸の中で一つになつてゐるやうな気がします。どうかさう云ふ私を憐んで下さい。私は寂しくつて仕方がありません。」
美しい顔をした悪魔は、かう云つて、涙を流した。……
古写本(こしやほん)の伝説は、この悪魔のなり行きを詳(つまびらか)にしてゐない。が、それは我々に何(なん)の関(かかは)りがあらう。我々はこれを読んだ時に、唯かう呼びかけたいやうな心もちを感じさへすれば好(い)いのである。……
うるがんよ。悪魔と共に我々を憐んでくれ。我々にも亦(また)、それと同じやうな悲しさがある。
60 名前:秋 1-1:2008/05/07 19:26 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
信子は女子大学にゐた時から、才媛(さいゑん)の名声を担(にな)つてゐた。彼女が早晩作家として文壇に打つて出る事は、殆(ほとんど)誰も疑はなかつた。中には彼女が在学中、既に三百何枚かの自叙伝体小説を書き上げたなどと吹聴(ふいちやう)して歩くものもあつた。が、学校を卒業して見ると、まだ女学校も出てゐない妹の照子と彼女とを抱へて、後家(ごけ)を立て通して来た母の手前も、さうは我儘(わがまま)を云はれない、複雑な事情もないではなかつた。そこで彼女は創作を始める前に、まづ世間の習慣通り、縁談からきめてかかるべく余儀なくされた。
彼女には俊吉(しゆんきち)と云ふ従兄(いとこ)があつた。彼は当時まだ大学の文科に籍を置いてゐたが、やはり将来は作家仲間に身を投ずる意志があるらしかつた。信子はこの従兄の大学生と、昔から親しく往来してゐた。それが互に文学と云ふ共通の話題が出来てからは、愈(いよいよ)親しみが増したやうであつた。唯、彼は信子と違つて、当世流行のトルストイズムなどには一向敬意を表さなかつた。さうして始終フランス仕込みの皮肉や警句ばかり並べてゐた。かう云ふ俊吉の冷笑的な態度は、時々万事真面目な信子を怒らせてしまふ事があつた。が、彼女は怒りながらも俊吉の皮肉や警句の中に、何か軽蔑(けいべつ)出来ないものを感じない訳には行かなかつた。
だから彼女は在学中も、彼と一しよに展覧会や音楽会へ行く事が稀ではなかつた。尤(もつと)も大抵そんな時には、妹の照子も同伴(いつしよ)であつた。彼等三人は行きも返りも、気兼ねなく笑つたり話したりした。が、妹の照子だけは、時々話の圏外へ置きざりにされる事もあつた。それでも照子は子供らしく、飾窓の中のパラソルや絹のシヨオルを覗き歩いて、格別閑却された事を不平に思つてもゐないらしかつた。信子はしかしそれに気がつくと、必(かならず)話頭を転換して、すぐに又元の通り妹にも口をきかせようとした。その癖まづ照子を忘れるものは、何時(いつ)も信子自身であつた。俊吉はすべてに無頓着なのか、不相変(あひかはらず)気の利いた冗談(じようだん)ばかり投げつけながら、目まぐるしい往来の人通りの中を、大股にゆつくり歩いて行つた。……
信子と従兄との間がらは、勿論誰の眼に見ても、来るべき彼等の結婚を予想させるのに十分であつた。同窓たちは彼女の未来をてんでに羨んだり妬(ねた)んだりした。殊に俊吉を知らないものは、(滑稽と云ふより外はないが、)一層これが甚(はなはだ)しかつた。信子も亦一方では彼等の推測を打ち消しながら、他方ではその確な事をそれとなく故意に仄(ほのめ)かせたりした。従つて同窓たちの頭の中には、彼等が学校を出るまでの間に、何時か彼女と俊吉との姿が、恰(あたか)も新婦新郎の写真の如く、一しよにはつきり焼きつけられてゐた。
所が学校を卒業すると、信子は彼等の予期に反して、大阪の或商事会社へ近頃勤務する事になつた、高商出身の青年と、突然結婚してしまつた。さうして式後二三日してから、新夫と一しよに勤め先きの大阪へ向けて立つてしまつた。その時中央停車場へ見送りに行つたものの話によると、信子は何時(いつ)もと変りなく、晴れ晴れした微笑を浮べながら、ともすれば涙を落し勝ちな妹の照子をいろいろと慰めてゐたと云ふ事であつた。
61 名前:秋 1-2:2008/05/07 19:27 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
同窓たちは皆不思議がつた。その不思議がる心の中には、妙に嬉しい感情と、前とは全然違つた意味で妬ましい感情とが交つてゐた。或者は彼女を信頼して、すべてを母親の意志に帰した。又或ものは彼女を疑つて、心がはりがしたとも云ひふらした。が、それらの解釈が結局想像に過ぎない事は、彼等自身さへ知らない訳ではなかつた。彼女はなぜ俊吉と結婚しなかつたか? 彼等はその後暫くの間、よるとさはると重大らしく、必(かならず)この疑問を話題にした。さうして彼是(かれこれ)二月ばかり経つと――全く信子を忘れてしまつた。勿論彼女が書く筈だつた長篇小説の噂なぞも。
信子はその間に大阪の郊外へ、幸福なるべき新家庭をつくつた。彼等の家はその界隈(かいわい)でも最も閑静な松林にあつた。松脂(まつやに)の匂と日の光と、――それが何時でも夫の留守は、二階建の新しい借家の中に、活(い)き活きした沈黙を領してゐた。信子はさう云ふ寂しい午後、時々理由もなく気が沈むと、きつと針箱の引出しを開けては、その底に畳んでしまつてある桃色の書簡箋をひろげて見た、書簡箋の上にはこんな事が、細々とペンで書いてあつた。
「――もう今日かぎり御姉様と御一しよにゐる事が出来ないと思ふと、これを書いてゐる間でさへ、止め度なく涙が溢れて来ます。御姉様。どうか、どうか私を御赦(おゆる)し下さい。照子は勿体ない御姉様の犠牲の前に、何と申し上げて好いかもわからずに居ります。
「御姉様は私の為に、今度の御縁談を御きめになりました。さうではないと仰有(おつしや)つても、私にはよくわかつて居ります。何時ぞや御一しよに帝劇を見物した晩、御姉様は私に俊さんは好きかと御尋(おき)きになりました。それから又好きならば、御姉様がきつと骨を折るから、俊さんの所へ行けとも仰有いました。あの時もう御姉様は、私が俊さんに差上げる筈の手紙を読んでいらしつたのでせう。あの手紙がなくなつた時、ほんたうに私は御姉様を御恨(おうら)めしく思ひました。(御免遊ばせ。この事だけでも私はどの位申し訳がないかわかりません。)ですからその晩も私には、御姉様の親切な御言葉も、皮肉のやうな気さへ致しました。私が怒つて御返事らしい御返事も碌(ろく)に致さなかつた事は、もちろん御忘れになりもなさりますまい。けれどもあれから二三日経つて、御姉様の御縁談が急にきまつてしまつた時、私はそれこそ死んででも、御詫び[#「御詫び」は底本では「御詑び」]をしようかと思ひました。御姉様も俊さんが御好きなのでございますもの。(御隠しになつてはいや。私はよく存じて居りましてよ。)私の事さへ御かまひにならなければ、きつと御自分が俊さんの所へいらしつたのに違ひございません。それでも御姉様は私に、俊さんなぞは思つてゐないと、何度も繰返して仰有いました。さうしてとうとう心にもない御結婚をなすつて御しまひになりました。私の大事な御姉様。私が今日鶏を抱いて来て、大阪へいらつしやる御姉様に、御挨拶をなさいと申した事をまだ覚えていらしつて? 私は飼つてゐる鶏にも、私と一しよに御姉様へ御詫び[#「御詫び」は底本では「御詑び」]を申して貰ひたかつたの。さうしたら、何にも御存知ない御母様まで御泣きになりましたのね。
「御姉様。もう明日は大阪へいらしつて御しまひなさるでせう。けれどもどうか何時までも、御姉様の照子を見捨てずに頂戴、照子は毎朝鶏に餌をやりながら、御姉様の事を思ひ出して、誰にも知れず泣いてゐます。……」
信子はこの少女らしい手紙を読む毎に、必(かならず)涙が滲(にじ)んで来た。殊に中央停車場から汽車に乗らうとする間際、そつとこの手紙を彼女に渡した照子の姿を思ひ出すと、何とも云はれずにいぢらしかつた。が、彼女の結婚は果して妹の想像通り、全然犠牲的なそれであらうか。さう疑を挾む事は、涙の後の彼女の心へ、重苦しい気持ちを拡げ勝ちであつた。信子はこの重苦しさを避ける為に、大抵はぢつと快い感傷の中に浸つてゐた。そのうちに外の松林へ一面に当つた日の光が、だんだん黄ばんだ暮方の色に変つて行くのを眺めながら。
62 名前:秋 2-1:2008/05/07 19:29 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
結婚後彼是(かれこれ)三月ばかりは、あらゆる新婚の夫婦の如く、彼等も亦幸福な日を送つた。
夫は何処(どこ)か女性的な、口数を利(き)かない人物であつた。それが毎日会社から帰つて来ると、必晩飯後の何時間かは、信子と一しよに過す事にしてゐた。信子は編物の針を動かしながら、近頃世間に騒がれてゐる小説や戯曲の話などもした。その話の中には時によると、基督教(キリストけう)の匂のする女子大学趣味の人生観が織りこまれてゐる事もあつた。夫は晩酌の頬を赤らめた儘、読みかけた夕刊を膝へのせて、珍しさうに耳を傾けてゐた。が、彼自身の意見らしいものは、一言も加へた事がなかつた。
彼等は又殆(ほとんど)日曜毎に、大阪やその近郊の遊覧地へ気散じな一日を暮しに行つた。信子は汽車電車へ乗る度に、何処でも飲食する事を憚(はばか)らない関西人が皆卑しく見えた。それだけおとなしい夫の態度が、格段に上品なのを嬉しく感じた。実際身綺麗な夫の姿は、そう云ふ人中に交つてゐると、帽子からも、背広からも、或は又赤皮の編上げからも、化粧石鹸の匂に似た、一種清新な雰囲気(ふんゐき)を放散させてゐるやうであつた。殊に夏の休暇中、舞子(まひこ)まで足を延した時には、同じ茶屋に来合せた夫の同僚たちに比べて見て、一層誇りがましいやうな心もちがせずにはゐられなかつた。が、夫はその下卑(げび)た同僚たちに、存外親しみを持つてゐるらしかつた。
その内に信子は長い間、捨ててあつた創作を思ひ出した。そこで夫の留守の内だけ、一二時間づつ机に向ふ事にした。夫はその話を聞くと、「愈(いよいよ)女流作家になるかね。」と云つて、やさしい口もとに薄笑ひを見せた。しかし机には向ふにしても、思ひの外ペンは進まなかつた。彼女はぼんやり頬杖をついて、炎天の松林の蝉の声に、我知れず耳を傾けてゐる彼女自身を見出し勝ちであつた。
所が残暑が初秋へ振り変らうとする時分、夫は或日会社の出がけに、汗じみた襟を取変へようとした。が、生憎(あいにく)襟は一本残らず洗濯屋の手に渡つてゐた。夫は日頃身綺麗なだけに、不快らしく顔を曇らせた。さうしてズボン吊を掛けながら、「小説ばかり書いてゐちや困る。」と何時になく厭味を云つた。信子は黙つて眼を伏せて、上衣の埃を払つてゐた。
それから二三日過ぎた或夜、夫は夕刊に出てゐた食糧問題から、月々の経費をもう少し軽減出来ないものかと云ひ出した。「お前だつて何時までも女学生ぢやあるまいし。」――そんな事も口へ出した。信子は気のない返事をしながら、夫の襟飾の絽刺(ろざ)しをしてゐた。すると夫は意外な位執拗に、「その襟飾にしてもさ、買ふ方が反(かへ)つて安くつくぢやないか。」と、やはりねちねちした調子で云つた。彼女は猶更(なほさら)口が利けなくなつた。夫もしまひには白けた顔をして、つまらなさうに商売向きの雑誌か何かばかり読んでゐた。が、寝室の電燈を消してから、信子は夫に背を向けた儘、「もう小説なんぞ書きません。」と、囁くやうな声で云つた。夫はそれでも黙つてゐた。暫くして彼女は、同じ言葉を前よりもかすかに繰返した。それから間もなく泣く声が洩れた。夫は二言三言彼女を叱つた。その後でも彼女の啜泣(すすりな)きは、まだ絶え絶えに聞えてゐた。が、信子は何時の間にか、しつかりと夫にすがつてゐた。……
翌日彼等は又元の通り、仲の好い夫婦に返つてゐた。
と思ふと今度は十二時過ぎても、まだ夫が会社から帰つて来ない晩があつた。しかも漸(やうや)く帰つて来ると、雨外套(あまぐわいたう)も一人では脱げない程、酒臭い匂を呼吸してゐた。信子は眉をひそめながら、甲斐甲斐(かひがひ)しく夫に着換へさせた。夫はそれにも関らず、まはらない舌で皮肉さへ云つた。「今夜は僕が帰らなかつたから、余つ程小説が捗取(はかど)つたらう。」――さう云ふ言葉が、何度となく女のやうな口から出た。彼女はその晩床にはいると、思はず涙がほろほろ落ちた。こんな処を照子が見たら、どんなに一しよに泣いてくれるであらう。照子。照子。私が便りに思ふのは、たつたお前一人ぎりだ。――信子は度々心の中でかう妹に呼びかけながら、夫の酒臭い寝息に苦しまされて、殆(ほとんど)夜中まんじりともせずに、寝返りばかり打つてゐた。
が、それも亦翌日になると、自然と仲直りが出来上つてゐた。
63 名前:秋 2-2:2008/05/07 19:29 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
そんな事が何度か繰返される内に、だんだん秋が深くなつて来た。信子は何時か机に向つて、ペンを執る事が稀になつた。その時にはもう夫の方も、前程彼女の文学談を珍しがらないやうになつてゐた。彼等は夜毎に長火鉢を隔てて、瑣末(さまつ)な家庭の経済の話に時間を殺す事を覚え出した。その上又かう云ふ話題は、少くとも晩酌後の夫にとつて、最も興味があるらしかつた。それでも信子は気の毒さうに、時々夫の顔色を窺(うかが)つて見る事があつた。が、彼は何も知らず、近頃延した髭を噛みながら、何時もより余程快活に、「これで子供でも出来て見ると――」なぞと、考へ考へ話してゐた。
するとその頃から月々の雑誌に、従兄(いとこ)の名前が見えるやうになつた。信子は結婚後忘れたやうに、俊吉との文通を絶つてゐた。唯、彼の動静は、――大学の文科を卒業したとか、同人雑誌を始めたとか云ふ事は、妹から手紙で知るだけであつた。又それ以上彼の事を知りたいと云ふ気も起さなかつた。が、彼の小説が雑誌に載つてゐるのを見ると、懐しさは昔と同じであつた。彼女はその頁をはぐりながら、何度も独り微笑を洩らした。俊吉はやはり小説の中でも、冷笑と諧謔(かいぎやく)との二つの武器を宮本武蔵のやうに使つてゐた。彼女にはしかし気のせゐか、その軽快な皮肉の後(うしろ)に、何か今までの従兄にはない、寂しさうな捨鉢(すてばち)の調子が潜んでゐるやうに思はれた。と同時にさう思ふ事が、後めたいやうな気もしないではなかつた。
信子はそれ以来夫に対して、一層優しく振舞ふやうになつた。夫は夜寒の長火鉢の向うに、何時も晴れ晴れと微笑してゐる彼女の顔を見出した。その顔は以前より若々しく、化粧をしてゐるのが常であつた。彼女は針仕事の店を拡げながら、彼等が東京で式を挙げた当時の記憶なぞも話したりした。夫にはその記憶の細かいのが、意外でもあり、嬉しさうでもあつた。「お前はよくそんな事まで覚えてゐるね。」――夫にかう調戯(からか)はれると、信子は必(かならず)無言の儘、眼にだけ媚(こび)のある返事を見せた。が、何故それ程忘れずにゐるか、彼女自身も心の内では、不思議に思ふ事が度々あつた。
それから程なく、母の手紙が、信子に妹の結納(ゆひなふ)が済んだと云ふ事を報じて来た。その手紙の中には又、俊吉が照子を迎へる為に、山の手の或郊外へ新居を設けた事もつけ加へてあつた。彼女は早速母と妹とへ、長い祝ひの手紙を書いた。「何分当方は無人故、式には不本意ながら参りかね候へども……」そんな文句を書いてゐる内に、(彼女には何故かわからなかつたが、)筆の渋る事も再三あつた。すると彼女は眼を挙げて、必(かならず)外の松林を眺めた。松は初冬の空の下に、簇々(そうそう)と蒼黒く茂つてゐた。
その晩信子と夫とは、照子の結婚を話題にした。夫は何時もの薄笑ひを浮べながら、彼女が妹の口真似をするのを、面白さうに聞いてゐた。が、彼女には何となく、彼女自身に照子の事を話してゐるやうな心もちがした。「どれ、寝るかな。」――二三時間の後、夫は柔(やはらか)な髭を撫でながら、大儀さうに長火鉢の前を離れた。信子はまだ妹へ祝つてやる品を決し兼ねて、火箸で灰文字を書いてゐたが、この時急に顔を挙げて、「でも妙なものね、私にも弟が一人出来るのだと思ふと。」と云つた。「当り前ぢやないか、妹もゐるんだから。」――彼女は夫にかう云はれても、考深い眼つきをした儘、何とも返事をしなかつた。
照子と俊吉とは、師走(しはす)の中旬に式を挙げた。当日は午(ひる)少し前から、ちらちら白い物が落ち始めた。信子は独り午の食事をすませた後、何時までもその時の魚の匂が、口について離れなかつた。「東京も雪が降つてゐるかしら。」――こんな事を考へながら、信子はぢつとうす暗い茶の間の長火鉢にもたれてゐた。雪が愈(いよいよ)烈しくなつた。が、口中の生臭さは、やはり執念(しふね)く消えなかつた。……
64 名前:すてるす:2008/05/07 19:30 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
>>58かぎりさん
50年ですか、解りました。自分もmidiとかで遊んでたんですけど
規制されて、なんでようつべ規制にならないんだろ・・・お金はらってるからですね。
65 名前:秋 3-1:2008/05/07 19:30 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
信子はその翌年の秋、社命を帯びた夫と一しよに、久しぶりで東京の土を踏んだ。が、短い日限内に、果すべき用向きの多かつた夫は、唯彼女の母親の所へ、来(き)々(そうそう)顔を出した時の外は、殆一日も彼女をつれて、外出する機会を見出さなかつた。彼女はそこで妹夫婦の郊外の新居を尋ねる時も、新開地じみた電車の終点から、たつた一人俥(くるま)に揺られて行つた。
彼等の家は、町並が葱畑(ねぎばたけ)に移る近くにあつた。しかし隣近所には、いづれも借家らしい新築が、せせこましく軒を並べてゐた。のき打ちの門、要(かなめ)もちの垣、それから竿に干した洗濯物、――すべてがどの家も変りはなかつた。この平凡な住居(すまひ)の容子(ようす)は、多少信子を失望させた。
が、彼女が案内を求めた時、声に応じて出て来たのは、意外にも従兄の方であつた。俊吉は以前と同じやうに、この珍客の顔を見ると、「やあ。」と快活な声を挙げた。彼女は彼が何時の間にか、いが栗頭でなくなつたのを見た。「暫らく。」「さあ、御上り。生憎(あいにく)僕一人だが。」「照子は? 留守?」「使に行つた。女中も。」――信子は妙に恥しさを感じながら、派手な裏のついた上衣(コオト)をそつと玄関の隅に脱いだ。
俊吉は彼女を書斎兼客間の八畳へ坐らせた。座敷の中には何処を見ても、本ばかり乱雑に積んであつた。殊に午後の日の当つた障子際の、小さな紫檀(したん)の机のまはりには、新聞雑誌や原稿用紙が、手のつけやうもない程散らかつてゐた。その中に若い細君の存在を語つてゐるものは、唯床の間の壁に立てかけた、新しい一面の琴だけであつた。信子はかう云ふ周囲から、暫らく物珍しい眼を離さなかつた。
「来ることは手紙で知つてゐたけれど、今日来ようとは思はなかつた。」――俊吉は巻煙草へ火をつけると、さすがに懐しさうな眼つきをした。「どうです、大阪の御生活は?」「俊さんこそ如何(いかが)? 幸福?」――信子も亦二言三言話す内に、やはり昔のやうな懐しさが、よみ返つて来るのを意識した。文通さへ碌にしなかつた、彼是(かれこれ)二年越しの気まづい記憶は、思つたより彼女を煩(わづら)はさなかつた。
彼等は一つ火鉢に手をかざしながら、いろいろな事を話し合つた。俊吉の小説だの、共通な知人の噂だの、東京と大阪との比較だの、話題はいくら話しても、尽きない位沢山あつた。が、二人とも云ひ合せたやうに、全然暮し向きの問題には触れなかつた。それが信子には一層従兄と、話してゐると云ふ感じを強くさせた。
時々はしかし沈黙が、二人の間に来る事もあつた。その度に彼女は微笑した儘、眼を火鉢の灰に落した。其処(そこ)には待つとは云へない程、かすかに何かを待つ心もちがあつた。すると故意か偶然か、俊吉はすぐに話題を見つけて、何時もその心もちを打ち破つた。彼女は次第に従兄の顔を窺(うかが)はずにはゐられなくなつた。が、彼は平然と巻煙草の煙を呼吸しながら、格別不自然な表情を装つてゐる気色(けしき)も見えなかつた。
その内に照子が帰つて来た。彼女は姉の顔を見ると、手をとり合はないばかりに嬉しがつた。信子も唇は笑ひながら、眼には何時かもう涙があつた。二人は暫くは俊吉も忘れて、去年以来の生活を互に尋ねたり尋ねられたりしてゐた。殊に照子は活き活きと、血の色を頬に透かせながら、今でも飼つてゐる鶏の事まで、話して聞かせる事を忘れなかつた。俊吉は巻煙草を啣(くは)へた儘、満足さうに二人を眺めて、不相変(あひかはらず)にやにや笑つてゐた。
其処へ女中も帰つて来た。俊吉はその女中の手から、何枚かの端書(はがき)を受取ると、早速側の机へ向つて、せつせとペンを動かし始めた。照子は女中も留守だつた事が、意外らしい気色を見せた。「ぢや御姉様がいらしつた時は、誰も家にゐなかつたの。」「ええ、俊さんだけ。」――信子はかう答へる事が、平気を強(し)ひるやうな心もちがした。すると俊吉が向うを向いたなり、「旦那様に感謝しろ。その茶も僕が入れたんだ。」と云つた。照子は姉と眼を見合せて、悪戯(いたづら)さうにくすりと笑つた。が、夫にはわざとらしく、何とも返事をしなかつた。
66 名前:かぎり:2008/05/07 19:30 ID:ma37W/2GqQ IP:122.26.43.249
-
都築さぁぁぁぁぁあああんんんんん!!!
分かったから。。笑
止めましょ?
すてるすさん、、ここは素直に謝りましょう?
67 名前:秋 3-2:2008/05/07 19:31 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
間もなく信子は、妹夫婦と一しよに、晩飯の食卓を囲むことになつた。照子の説明する所によると、膳に上つた玉子は皆、家の鶏が産んだものであつた。俊吉は信子に葡萄酒をすすめながら、「人間の生活は掠奪(りやくだつ)で持つてゐるんだね。小はこの玉子から」――なぞと社会主義じみた理窟を並べたりした。その癖此処にゐる三人の中で、一番玉子に愛着のあるのは俊吉自身に違ひなかつた。照子はそれが可笑(をか)しいと云つて、子供のやうな笑ひ声を立てた。信子はかう云ふ食卓の空気にも、遠い松林の中にある、寂しい茶の間の暮方を思ひ出さずにゐられなかつた。
話は食後の果物を荒した後も尽きなかつた。微酔を帯びた俊吉は、夜長の電燈の下にあぐらをかいて、盛に彼一流の詭弁(きべん)を弄した。その談論風発が、もう一度信子を若返らせた。彼女は熱のある眼つきをして、「私も小説を書き出さうかしら。」と云つた。すると従兄は返事をする代りに、グウルモンの警句を抛(はふ)りつけた。それは「ミユウズたちは女だから、彼等を自由に虜(とりこ)にするものは、男だけだ。」と云ふ言葉であつた。信子と照子とは同盟して、グウルモンの権威を認めなかつた。「ぢや女でなけりや、音楽家になれなくつて? アポロは男ぢやありませんか。」――照子は真面目にこんな事まで云つた。
その暇に夜が更けた。信子はとうとう泊る事になつた。
寝る前に俊吉は、縁側の雨戸を一枚開けて、寝間着の儘狭い庭へ下りた。それから誰を呼ぶともなく「ちよいと出て御覧。好い月だから。」と声をかけた。信子は独り彼の後から、沓脱(くつぬ)ぎの庭下駄へ足を下した。足袋を脱いだ彼女の足には、冷たい露の感じがあつた。
月は庭の隅にある、痩せがれた檜(ひのき)の梢(こずゑ)にあつた。従兄はその檜の下に立つて、うす明い夜空を眺めてゐた。「大へん草が生えてゐるのね。」――信子は荒れた庭を気味悪さうに、怯(お)づ怯づ彼のゐる方へ歩み寄つた。が、彼はやはり空を見ながら、「十三夜かな。」と呟(つぶや)いただけであつた。
暫く沈黙が続いた後、俊吉は静に眼を返して、「鶏小屋(とりごや)へ行つて見ようか。」と云つた。信子は黙つて頷(うなづ)いた。鶏小屋は丁度檜とは反対の庭の隅にあつた。二人は肩を並べながら、ゆつくり其処まで歩いて行つた。しかし蓆囲(むしろがこ)ひの内には、唯鶏の匂のする、朧(おぼろ)げな光と影ばかりがあつた。俊吉はその小屋を覗いて見て、殆(ほとんど)独り言かと思ふやうに、「寝てゐる。」と彼女に囁(ささや)いた。「玉子を人に取られた鶏が。」――信子は草の中に佇(たたず)んだ儘、さう考へずにはゐられなかつた。……
二人が庭から返つて来ると、照子は夫の机の前に、ぼんやり電燈を眺めてゐた。青い横ばひがたつた一つ、笠に這つてゐる電燈を。
68 名前:都築:2008/05/07 19:32 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
>>66
どんなに謝られても、辞めません。
一度頂いたご免状は、死んでも離しません。
責任は、ご免状出した脳足りんに取らせてください。
俺様の知ったことでは無い。
69 名前:秋 4-1:2008/05/07 19:33 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
翌朝俊吉は一張羅の背広を着て、食後々(そうそう)玄関へ行つた。何でも亡友の一周忌の墓参をするのだとか云ふ事であつた。「好いかい。待つてゐるんだぜ。午頃(ひるごろ)までにやきつと帰つて来るから。」――彼は外套をひつかけながら、かう信子に念を押した。が、彼女は華奢(きやしや)な手に彼の中折(なかをれ)を持つた儘、黙つて微笑したばかりであつた。
照子は夫を送り出すと、姉を長火鉢の向うに招じて、まめまめしく茶をすすめなどした。隣の奥さんの話、訪問記者の話、それから俊吉と見に行つた或外国の歌劇団の話、――その外愉快なるべき話題が、彼女にはまだいろいろあるらしかつた。が、信子の心は沈んでゐた。彼女はふと気がつくと、何時も好い加減な返事ばかりしてゐる彼女自身が其処にあつた。それがとうとうしまひには、照子の眼にさへ止るやうになつた。妹は心配さうに彼女の顔を覗きこんで、「どうして?」と尋ねてくれたりした。しかし信子にもどうしたのだか、はつきりした事はわからなかつた。
柱時計が十時を打つた時、信子は懶(ものう)さうな眼を挙げて、「俊さんは中々帰りさうもないわね。」と云つた。照子も姉の言葉につれて、ちよいと時計を仰いだが、これは存外冷淡に、「まだ――」とだけしか答へなかつた。信子にはその言葉の中に、夫の愛に飽き足りてゐる新妻の心があるやうな気がした。さう思ふと愈(いよいよ)彼女の気もちは、憂欝に傾かずにはゐられなかつた。
「照さんは幸福ね。」――信子は頤(あご)を半襟に埋めながら、冗談のやうにかう云つた。が、自然と其処へ忍びこんだ、真面目な羨望(せんばう)の調子だけは、どうする事も出来なかつた。照子はしかし無邪気らしく、やはり活き活きと微笑しながら、「覚えていらつしやい。」と睨(にら)む真似をした。それからすぐに又「御姉様だつて幸福の癖に。」と、甘えるやうにつけ加へた。その言葉がぴしりと信子を打つた。
彼女は心もち(まぶた)を上げて、「さう思つて?」と問ひ返した。問ひ返して、すぐに後悔した。照子は一瞬間妙な顔をして、姉と眼を見合せた。その顔にも亦(また)蔽ひ難い後悔の心が動いてゐた。信子は強ひて微笑した。――「さう思はれるだけでも幸福ね。」
二人の間には沈黙が来た。彼等は柱時計の時を刻む下に、長火鉢の鉄瓶がたぎる音を聞くともなく聞き澄ませてゐた。
「でも御兄様は御優しくはなくつて?」――やがて照子は小さな声で、恐る恐るかう尋ねた。その声の中には明かに、気の毒さうな響が籠つてゐた、が、この場合信子の心は、何よりも憐憫(れんびん)を反撥(はんぱつ)した。彼女は新聞を膝の上へのせて、それに眼を落したなり、わざと何とも答へなかつた。新聞には大阪と同じやうに、米価問題が掲げてあつた。
その内に静な茶の間の中には、かすかに人の泣くけはひが聞え出した。信子は新聞から眼を離して、袂を顔に当てた妹を長火鉢の向うに見出した。「泣かなくつたつて好いのよ。」――照子は姉にさう慰められても、容易に泣き止まうとはしなかつた。信子は残酷な喜びを感じながら、暫くは妹の震へる肩へ無言の視線を注いでゐた。それから女中の耳を憚(はばか)るやうに、照子の方へ顔をやりながら、「悪るかつたら、私があやまるわ。私は照さんさへ幸福なら、何より難有(ありがた)いと思つてゐるの。ほんたうよ。俊さんが照さんを愛してゐてくれれば――」と、低い声で云ひ続けた。云ひ続ける内に、彼女の声も、彼女自身の言葉に動かされて、だんだん感傷的になり始めた。すると突然照子は袖を落して、涙に濡れてゐる顔を挙げた。彼女の眼の中には、意外な事に、悲しみも怒りも見えなかつた。が、唯、抑へ切れない嫉妬の情が、燃えるやうに瞳を火照(ほて)らせてゐた。「ぢや御姉様は――御姉様は何故昨夜も――」照子は皆まで云はない内に、又顔を袖に埋めて、発作的に烈しく泣き始めた。……
70 名前:秋 4-2:2008/05/07 19:34 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
二三時間の後、信子は電車の終点に急ぐべく、幌俥(ほろぐるま)の上に揺られてゐた。彼女の眼にはひる外の世界は、前部の幌を切りぬいた、四角なセルロイドの窓だけであつた。其処には場末らしい家々と色づいた雑木の梢とが、徐(おもむろ)にしかも絶え間なく、後へ後へと流れて行つた。もしその中に一つでも動かないものがあれば、それは薄雲を漂はせた、冷やかな秋の空だけであつた。
彼女の心は静かであつた。が、その静かさを支配するものは、寂しい諦めに外ならなかつた。照子の発作が終つた後、和解は新しい涙と共に、容易(たやす)く二人を元の通り仲の好い姉妹に返してゐた。しかし事実は事実として、今でも信子の心を離れなかつた。彼女は従兄の帰りも待たずこの俥上に身を託した時、既に妹とは永久に他人になつたやうな心もちが、意地悪く彼女の胸の中に氷を張らせてゐたのであつた。――
信子はふと眼を挙げた。その時セルロイドの窓の中には、ごみごみした町を歩いて来る、杖を抱へた従兄の姿が見えた。彼女の心は動揺した。俥を止めようか。それともこの儘行き違はうか。彼女は動悸(どうき)を抑へながら、暫くは唯幌の下に、空(むな)しい逡巡を重ねてゐた。が、俊吉と彼女との距離は、見る見る内に近くなつて来た。彼は薄日の光を浴びて、水溜りの多い往来にゆつくりと靴を運んでゐた。
「俊さん。」――さう云ふ声が一瞬間、信子の唇から洩れようとした。実際俊吉はその時もう、彼女の俥のすぐ側に、見慣れた姿を現してゐた。が、彼女は又ためらつた。その暇に何も知らない彼は、とうとうこの幌俥とすれ違つた。薄濁つた空、疎(まば)らな屋並、高い木々の黄ばんだ梢、――後には不相変(あひかはらず)人通りの少い場末の町があるばかりであつた。
「秋――」
信子はうすら寒い幌の下に、全身で寂しさを感じながら、しみじみかう思はずにゐられなかつた。
71 名前:かぎり:2008/05/07 19:38 ID:ma37W/2GqQ IP:122.26.43.249
-
>>68
ハハハハ!!
まぁ都築さんならそうでしょうねw
そういう所は結構好きですw
んじゃあ、冬まで突っ走るしかないですね。
どうせなら「ノルウェーの森」が良かった^^
72 名前:すてるす:2008/05/07 19:38 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
大人気無い・・・。
73 名前:都築:2008/05/07 19:41 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
>>71
>「ノルウェーの森」
人が折角気を使って、芥川でお茶濁してやってるのに、
まさか、著作権持ち出した奴から村上春樹の作品が出てくるとはおもわなんだ。
だが、芥川龍之介の「冬」のリクエストだけ都合よく貰っておくぞ。
74 名前:すてるす:2008/05/07 19:41 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
都築さんガンバレ!!!
75 名前:冬 1:2008/05/07 19:42 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
僕は重い外套(がいとう)にアストラカンの帽をかぶり、市(いち)ヶ谷(や)の刑務所へ歩いて行った。僕の従兄(いとこ)は四五日前にそこの刑務所にはいっていた。僕は従兄を慰める親戚総代にほかならなかった。が、僕の気もちの中には刑務所に対する好奇心もまじっていることは確かだった。
二月に近い往来は売出しの旗などの残っていたものの、どこの町全体も冬枯れていた。僕は坂を登りながら、僕自身も肉体的にしみじみ疲れていることを感じた。僕の叔父(おじ)は去年の十一月に喉頭癌(こうとうがん)のために故人になっていた。それから僕の遠縁の少年はこの正月に家出していた。それから――しかし従兄の収監(しゅうかん)は僕には何よりも打撃だった。僕は従兄の弟と一しょに最も僕には縁の遠い交渉を重ねなければならなかった。のみならずそれ等の事件にからまる親戚同志の感情上の問題は東京に生まれた人々以外に通じ悪(にく)いこだわりを生じ勝ちだった。僕は従兄と面会した上、ともかくどこかに一週間でも静養したいと思わずにはいられなかった。………
市ヶ谷の刑務所は草の枯れた、高い土手(どて)をめぐらしていた。のみならずどこか中世紀じみた門には太い木の格子戸(こうしど)の向うに、霜に焦(こ)げた檜(ひのき)などのある、砂利(じゃり)を敷いた庭を透(す)かしていた。僕はこの門の前に立ち、長い半白(はんぱく)の髭(ひげ)を垂(た)らした、好人物らしい看守(かんしゅ)に名刺を渡した。それから余り門と離れていない、庇(ひさし)に厚い苔(こけ)の乾いた面会人控室へつれて行って貰った。そこにはもう僕のほかにも薄縁(うすべ)りを張った腰かけの上に何人も腰をおろしていた。しかし一番目立ったのは黒縮緬(くろちりめん)の羽織をひっかけ、何か雑誌を読んでいる三十四五の女だった。
妙に無愛想(ぶあいそう)な一人の看守は時々こう云う控室へ来、少しも抑揚(よくよう)のない声にちょうど面会の順に当った人々の番号を呼び上げて行った。が、僕はいつまで待っても、容易に番号を呼ばれなかった。いつまで待っても――僕の刑務所の門をくぐったのはかれこれ十時になりかかっていた。けれども僕の腕時計はもう一時十分前だった。
僕は勿論(もちろん)腹も減りはじめた。しかしそれよりもやり切れなかったのは全然火の気(け)と云うもののない控室の中の寒さだった。僕は絶えず足踏みをしながら、苛々(いらいら)する心もちを抑(おさ)えていた。が、大勢(おおぜい)の面会人は誰も存外(ぞんがい)平気らしかった。殊に丹前(たんぜん)を二枚重ねた、博奕(ばくち)打ちらしい男などは新聞一つ読もうともせず、ゆっくり蜜柑(みかん)ばかり食いつづけていた。
しかし大勢の面会人も看守の呼び出しに来る度にだんだん数を減らして行った。僕はとうとう控室の前へ出、砂利を敷いた庭を歩きはじめた。そこには冬らしい日の光も当っているのに違いなかった。けれどもいつか立ち出した風も僕の顔へ薄い塵(ちり)を吹きつけて来るのに違いなかった。僕は自然と依怙地(えこじ)になり、とにかく四時になるまでは控室へはいるまいと決心した。
僕は生憎(あいにく)四時になっても、まだ呼び出して貰われなかった。のみならず僕より後(あと)に来た人々もいつか呼び出しに遇(あ)ったと見え、大抵(たいてい)はもういなくなっていた。僕はとうとう控室へはいり、博奕打ちらしい男にお時宜(じぎ)をした上、僕の場合を相談した。が、彼はにこりともせず、浪花節語(なにわぶしかた)りに近い声にこう云う返事をしただけだった。
「一日(いちんち)に一人(ひとり)しか会わせませんからね。お前(まえ)さんの前に誰か会っているんでしょう。」
勿論こう云う彼の言葉は僕を不安にしたのに違いなかった。僕はまた番号を呼びに来た看守に一体従兄(いとこ)に面会することは出来るかどうか尋ねることにした。しかし看守は僕の言葉に全然返事をしなかった上、僕の顔も見ずに歩いて行ってしまった。同時にまた博奕打ちらしい男も二三人の面会人と一しょに看守のあとについて行ってしまった。僕は土間(どま)のまん中に立ち、機械的に巻煙草に火をつけたりした。が、時間の移るにつれ、だんだん無愛想(ぶあいそう)な看守に対する憎しみの深まるのを感じ出した。(僕はこの侮辱(ぶじょく)を受けた時に急に不快にならないことをいつも不思議に思っている。)
76 名前:冬 2:2008/05/07 19:42 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
看守のもう一度呼び出しに来たのはかれこれ五時になりかかっていた。僕はまたアストラカンの帽をとった上、看守に同じことを問いかけようとした。すると看守は横を向いたまま、僕の言葉を聞かないうちにさっさと向うへ行ってしまった。「余りと言えば余り」とは実際こう云う瞬間の僕の感情に違いなかった。僕は巻煙草の吸いさしを投げつけ、控室の向うにある刑務所の玄関(げんかん)へ歩いて行った。
玄関の石段を登った左には和服を着た人も何人か硝子(ガラス)窓の向うに事務を執(と)っていた。僕はその硝子窓をあけ、黒い紬(つむぎ)の紋つきを着た男に出来るだけ静かに話しかけた。が、顔色(かおいろ)の変っていることは僕自身はっきり意識していた。
「僕はTの面会人です。Tには面会は出来ないんですか?」
「番号を呼びに来るのを待って下さい。」
「僕は十時頃から待っています。」
「そのうちに呼びに来るでしょう。」
「呼びに来なければ待っているんですか? 日が暮れても待っているんですか?」
「まあ、とにかく待って下さい。とにかく待った上にして下さい。」
相手は僕のあばれでもするのを心配しているらしかった。僕は腹の立っている中(うち)にもちょっとこの男に同情した。「こっちは親戚総代になっていれば、向うは刑務所総代になっている、」――そんな可笑(おか)しさも感じないのではなかった。
「もう五時過ぎになっています。面会だけは出来るように取り計(はから)って下さい。」
僕はこう言い捨てたなり、ひとまず控室へ帰ることにした。もう暮れかかった控室の中にはあの丸髷(まるまげ)の女が一人、今度は雑誌を膝の上に伏せ、ちゃんと顔を起していた。まともに見た彼女の顔はどこかゴシックの彫刻らしかった。僕はこの女の前に坐り、未(いま)だに刑務所全体に対する弱者の反感を感じていた。
僕のやっと呼び出されたのはかれこれ六時になりかかっていた。僕は今度は目のくりくりした、機敏らしい看守(かんしゅ)に案内され、やっと面会室の中にはいることになった。面会室は室と云うものの、精々(せいぜい)二三尺四方ぐらいだった。のみならず僕のはいったほかにもペンキ塗りの戸の幾つも並んでいるのは共同便所にそっくりだった。面会室の正面にこれも狭い廊下(ろうか)越しに半月形(はんげつがた)の窓が一つあり、面会人はこの窓の向うに顔を顕(あら)わす仕組みになっていた。
従兄(いとこ)はこの窓の向うに、――光の乏しい硝子(ガラス)窓の向うに円まると肥(ふと)った顔を出した。しかし存外(ぞんがい)変っていないことは幾分か僕を力丈夫にした。僕等は感傷主義を交(まじ)えずに手短かに用事を話し合った。が、僕の右隣りには兄に会いに来たらしい十六七の女が一人とめどなしに泣き声を洩(も)らしていた。僕は従兄と話しながら、この右隣りの泣き声に気をとめない訣(わけ)には行(ゆ)かなかった。
「今度のことは全然冤罪(えんざい)ですから、どうか皆さんにそう言って下さい。」
従兄は切(き)り口上(こうじょう)にこう言ったりした。僕は従兄を見つめたまま、この言葉には何(なん)とも答えなかった。しかし何とも答えなかったことはそれ自身僕に息苦しさを与えない訣(わけ)には行(ゆ)かなかった。現に僕の左隣りには斑(まだ)らに頭の禿(は)げた老人が一人やはり半月形(はんげつがた)の窓越しに息子(むすこ)らしい男にこう言っていた。
「会わずにひとりでいる時にはいろいろのことを思い出すのだが、どうも会うとなると忘れてしまってな。」
僕は面会室の外へ出た時、何か従兄にすまなかったように感じた。が、それは僕等同志の連帯責任であるようにも感じた。僕はまた看守に案内され、寒さの身にしみる刑務所の廊下を大股に玄関へ歩いて行った。
77 名前:すてるす:2008/05/07 19:43 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
大人気無い・・・。都築さんガンバレ!!! (^^
78 名前:冬 3:2008/05/07 19:43 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
ある山(やま)の手(て)の従兄の家には僕の血を分けた従姉(いとこ)が一人僕を待ち暮らしているはずだった。僕はごみごみした町の中をやっと四谷見附(よつやみつけ)の停留所へ出、満員の電車に乗ることにした。「会わずにひとりいる時には」と言った、妙に力のない老人の言葉は未(いま)だに僕の耳に残っていた。それは女の泣き声よりも一層僕には人間的だった。僕は吊(つ)り革につかまったまま、夕明りの中に電燈をともした麹町(こうじまち)の家々を眺め、今更のように「人さまざま」と云う言葉を思い出さずにはいられなかった。
三十分ばかりたった後(のち)、僕は従兄の家の前に立ち、コンクリイトの壁についたベルの鈕(ボタン)へ指をやっていた。かすかに伝わって来るベルの音は玄関の硝子(ガラス)戸の中に電燈をともした。それから年をとった女中が一人細目に硝子戸をあけて見た後(のち)、「おや……」何(なん)とか間投詞(かんとうし)を洩らし、すぐに僕を往来に向った二階の部屋へ案内した。僕はそこのテエブルの上へ外套(がいとう)や帽子を投げ出した時、一時に今まで忘れていた疲れを感じずにはいられなかった。女中は瓦斯暖炉(ガスだんろ)に火をともし、僕一人を部屋の中に残して行った。多少の蒐集癖を持っていた従兄はこの部屋の壁にも二三枚の油画(あぶらえ)や水彩画(すいさいが)をかかげていた。僕はぼんやりそれらの画(え)を見比べ、今更のように有為転変(ういてんぺん)などと云う昔の言葉を思い出していた。
そこへ前後してはいって来たのは従姉や従兄の弟だった。従姉も僕の予期したよりもずっと落ち着いているらしかった。僕は出来るだけ正確に彼等に従兄の伝言を話し、今度の処置を相談し出した。従姉は格別積極的にどうしようと云う気も持ち合せなかった。のみならず話の相間(あいま)にもアストラカンの帽をとり上げ、こんなことを僕に話しかけたりした。
「妙な帽子ね。日本で出来るもんじゃないでしょう?」
「これ? これはロシア人のかぶる帽子さ。」
しかし従兄の弟は従兄以上に「仕事師」だけにいろいろの障害を見越していた。
「何しろこの間も兄貴(あにき)の友だちなどは××新聞の社会部の記者に名刺を持たせてよこすんです。その名刺には口止め料金のうち半金(はんきん)は自腹を切って置いたから、残金を渡してくれと書いてあるんです。それもこっちで検(しら)べて見れば、その新聞記者に話したのは兄貴の友だち自身なんですからね。勿論半金などを渡したんじゃない。ただ残金をとらせによこしているんです。そのまた新聞記者も新聞記者ですし、……」
「僕もとにかく新聞記者ですよ。耳の痛いことは御免蒙(ごめんこうむ)りますかね。」
僕は僕自身を引き立てるためにも常談(じょうだん)を言わずにはいられなかった。が、従兄の弟は酒気を帯びた目を血走らせたまま、演説でもしているように話しつづけた。それは実際常談さえうっかり言われない権幕(けんまく)に違いなかった。
「おまけに予審判事(よしんはんじ)を怒(おこ)らせるためにわざと判事をつかまえては兄貴を弁護する手合いもあるんですからね。」
「それはあなたからでも話して頂けば、……」
「いや、勿論そう言っているんです。御厚意は重々(じゅうじゅう)感謝しますけれども、判事の感情を害すると、反(かえ)って御厚意に背(そむ)きますからと頭を下げて頼んでいるんです。」
79 名前:かぎり:2008/05/07 19:43 ID:ma37W/2GqQ IP:122.26.43.249
-
だって僕「ノルウェーの森」好きだもんw
止めてって言っても止めないだろうから、リクエストしてみたw
80 名前:冬 4:2008/05/07 19:44 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
従姉(いとこ)は瓦斯(ガス)暖炉の前に坐ったまま、アストラカンの帽をおもちゃにしていた。僕は正直に白状すれば、従兄の弟と話しながら、この帽のことばかり気にしていた。火の中にでも落されてはたまらない。――そんなことも時々考えていた。この帽は僕の友だちのベルリンのユダヤ人町を探がした上、偶然モスクヴァへ足を伸ばした時、やっと手に入れることの出来たものだった。
「そう言っても駄目(だめ)ですかね?」
「駄目どころじゃありません。僕は君たちのためを思って骨を折っていてやるのに失敬なことを言うなと来るんですから。」
「なるほどそれじゃどうすることも出来ない。」
「どうすることも出来ません。法律上の問題には勿論、道徳上の問題にもならないんですからね。とにかく外見は友人のために時間や手数(てすう)をつぶしている、しかし事実は友人のために陥(おと)し穽(あな)を掘る手伝いをしている、――あたしもずいぶん奮闘主義ですが、ああ云うやつにかかっては手も足も出すことは出来ません。」
こう云う僕等の話の中(うち)に俄(にわ)かに僕等を驚かしたのは「T君万歳」と云う声だった。僕は片手に窓かけを挙げ、窓越しに往来へ目を落した。狭い往来には人々が大勢(おおぜい)道幅一ぱいに集っていた。のみならず××町青年団と書いた提灯(ちょうちん)が幾つも動いていた。僕は従姉たちと顔を見合せ、ふと従兄には××青年団団長と云う肩書もあったのを思い出した。
「お礼を言いに出なくっちゃいけないでしょうね。」
従姉はやっと「たまらない」と云う顔をし、僕等二人(ふたり)を見比べるようにした。
「何、わたしが行って来ます。」
従兄の弟は無造作(むぞうさ)にさっさと部屋を後ろにして行った。僕は彼の奮闘主義にある羨(うらやま)しさを感じながら、従姉の顔を見ないように壁の上の画などを眺めたりした。しかし何も言わずにいることはそれ自身僕には苦しかった。と云って何か言ったために二人とも感傷的になってしまうことはなおさら僕には苦しかった。僕は黙って巻煙草に火をつけ、壁にかかげた画の一枚に、――従兄自身の肖像画に遠近法の狂いなどを見つけていた。
「こっちは万歳どころじゃありはしない。そんなことを言ったって仕かたはないけれども……」
従姉は妙に空ぞらしい声にとうとう僕に話しかけた。
「町内(ちょうない)ではまだ知らずにいるのかしら?」
「ええ、……でも一体どうしたんでしょう?」
「何が?」
「Tのことよ。お父さんのこと。」
「それはTさんの身になって見れば、いろいろ事情もあったろうしさ。」
「そうでしょうか?」
僕はいつか苛立たしさを感じ、従姉に後ろを向けたまま、窓の前へ歩いて行った。窓の下の人々は不相変(あいかわらず)万歳の声を挙げていた。それはまた「万歳、万歳」と三度繰り返して唱(とな)えるものだった。従兄の弟は玄関の前へ出、手ん手に提灯(ちょうちん)をさし上げた大勢(おおぜい)の人々にお時宜(じぎ)をしていた。のみならず彼の左右には小さい従兄の娘たちも二人、彼に手をひかれたまま、時々取ってつけたようにちょっとお下(さ)げの頭を下げたりしていた。………
81 名前:冬 5:2008/05/07 19:44 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
それからもう何年かたった、ある寒さの厳しい夜、僕は従兄の家の茶の間(ま)に近頃始めた薄荷(はっか)パイプを啣(くわ)え、従姉と差し向いに話していた。初七日(しょなのか)を越した家の中は気味の悪いほどもの静かだった。従兄の白木(しらき)の位牌(いはい)の前には燈心(とうしん)が一本火を澄ましていた。そのまた位牌を据えた机の前には娘たちが二人夜着(よぎ)をかぶっていた。僕はめっきり年をとった従姉の顔を眺めながら、ふとあの僕を苦しめた一日の出来事を思い出した。しかし僕の口に出したのはこう云う当り前の言葉だけだった。
「薄荷(はっか)パイプを吸っていると、余計寒さも身にしみるようだね。」
「そうお、あたしも手足が冷(ひ)えてね。」
従姉は余り気のないように長火鉢の炭などを直していた。………
(昭和二年六月四日)
82 名前:すてるす:2008/05/07 19:48 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
解りました。依緒さんのためにも謝りますからやめて都築さん。
83 名前:都築:2008/05/07 19:52 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
>>82
24時間以内に、芥川龍之介の「秋」と「冬」を読んだ感想を、800字程度で提出しろ。
感想・批評として体裁が整った文章であれば、以後、辞めてやる。
未提出の場合、また24時間後に新しい作品投下する。
以上だ。
84 名前:すてるす:2008/05/07 19:59 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
太宰か吉川か司馬とか中島らもにして・・・。
85 名前:fairy:2008/05/07 20:01 ID:lG8tV308pE IP:220.102.149.64
-
あーあ
ま、そんな時もあるわよね。
おつかれさん
86 名前:すてるす:2008/05/07 20:02 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
あと椎名とか中村うさぎとか・・・。
87 名前:都築:2008/05/07 20:06 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
>>84
>太宰
まけてやる。必ず書けよ。
88 名前:葉桜と魔笛 1:2008/05/07 20:06 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
桜が散って、このように葉桜のころになれば、私は、きっと思い出します。――と、その老夫人は物語る。――いまから三十五年まえ、父はその頃まだ存命中でございまして、私の一家、と言いましても、母はその七年まえ私が十三のときに、もう他界なされて、あとは、父と、私と妹と三人きりの家庭でございましたが、父は、私十八、妹十六のときに島根県の日本海に沿った人口二万余りの或るお城下まちに、中学校長として赴任して来て、恰好(かっこう)の借家もなかったので、町はずれの、もうすぐ山に近いところに一つ離れてぽつんと建って在るお寺の、離れ座敷、二部屋拝借して、そこに、ずっと、六年目に松江の中学校に転任になるまで、住んでいました。私が結婚致しましたのは、松江に来てからのことで、二十四の秋でございますから、当時としてはずいぶん遅い結婚でございました。早くから母に死なれ、父は頑固一徹の学者気質で、世俗のことには、とんと、うとく、私がいなくなれば、一家の切りまわしが、まるで駄目になることが、わかっていましたので、私も、それまでにいくらも話があったのでございますが、家を捨ててまで、よそへお嫁に行く気が起らなかったのでございます。せめて、妹さえ丈夫でございましたならば、私も、少し気楽だったのですけれども、妹は、私に似ないで、たいへん美しく、髪も長く、とてもよくできる、可愛い子でございましたが、からだが弱く、その城下まちへ赴任して、二年目の春、私二十、妹十八で、妹は、死にました。そのころの、これは、お話でございます。妹は、もう、よほどまえから、いけなかったのでございます。腎臓結核という、わるい病気でございまして、気のついたときには、両方の腎臓が、もう虫食われてしまっていたのだそうで、医者も、百日以内、とはっきり父に言いました。どうにも、手のほどこし様が無いのだそうでございます。ひとつき経ち、ふたつき経って、そろそろ百日目がちかくなって来ても、私たちはだまって見ていなければいけません。妹は、何も知らず、割に元気で、終日寝床に寝たきりなのでございますが、それでも、陽気に歌をうたったり、冗談言ったり、私に甘えたり、これがもう三、四十日経つと、死んでゆくのだ、はっきり、それにきまっているのだ、と思うと、胸が一ぱいになり、総身を縫針で突き刺されるように苦しく、私は、気が狂うようになってしまいます。三月、四月、五月、そうです。五月のなかば、私は、あの日を忘れません。
野も山も新緑で、はだかになってしまいたいほど温く、私には、新緑がまぶしく、眼にちかちか痛くって、ひとり、いろいろ考えごとをしながら帯の間に片手をそっと差しいれ、うなだれて野道を歩き、考えること、考えること、みんな苦しいことばかりで息ができなくなるくらい、私は、身悶えしながら歩きました。どおん、どおん、と春の土の底の底から、まるで十万億土から響いて来るように、幽(かす)かな、けれども、おそろしく幅のひろい、まるで地獄の底で大きな大きな太鼓でも打ち鳴らしているような、おどろおどろした物音が、絶え間なく響いて来て、私には、その恐しい物音が、なんであるか、わからず、ほんとうにもう自分が狂ってしまったのではないか、と思い、そのまま、からだが凝結して立ちすくみ、突然わあっ! と大声が出て、立って居られずぺたんと草原に坐って、思い切って泣いてしまいました。
あとで知ったことでございますが、あの恐しい不思議な物音は、日本海大海戦、軍艦の大砲の音だったのでございます。東郷提督の命令一下で、露国のバルチック艦隊を一挙に撃滅なさるための、大激戦の最中だったのでございます。ちょうど、そのころでございますものね。海軍記念日は、ことしも、また、そろそろやってまいります。あの海岸の城下まちにも、大砲の音が、おどろおどろ聞えて来て、まちの人たちも、生きたそらが無かったのでございましょうが、私は、そんなこととは知らず、ただもう妹のことで一ぱいで、半気違いの有様だったので、何か不吉な地獄の太鼓のような気がして、ながいこと草原で、顔もあげずに泣きつづけて居りました。日が暮れかけて来たころ、私はやっと立ちあがって、死んだように、ぼんやりなってお寺へ帰ってまいりました。
89 名前:葉桜と魔笛 2:2008/05/07 20:07 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
「ねえさん。」と妹が呼んでおります。妹も、そのころは、痩(や)せ衰えて、ちから無く、自分でも、うすうす、もうそんなに永くないことを知って来ている様子で、以前のように、あまり何かと私に無理難題いいつけて甘ったれるようなことが、なくなってしまって、私には、それがまた一そうつらいのでございます。
「ねえさん、この手紙、いつ来たの?」
私は、はっと、むねを突かれ、顔の血の気が無くなったのを自分ではっきり意識いたしました。
「いつ来たの?」妹は、無心のようでございます。私は、気を取り直して、
「ついさっき。あなたが眠っていらっしゃる間に。あなた、笑いながら眠っていたわ。あたし、こっそりあなたの枕もとに置いといたの。知らなかったでしょう?」
「ああ、知らなかった。」妹は、夕闇の迫った薄暗い部屋の中で、白く美しく笑って、「ねえさん、あたし、この手紙読んだの。おかしいわ。あたしの知らないひとなのよ。」
知らないことがあるものか。私は、その手紙の差出人のM・Tという男のひとを知っております。ちゃんと知っていたのでございます。いいえ、お逢いしたことは無いのでございますが、私が、その五、六日まえ、妹の箪笥(たんす)をそっと整理して、その折に、ひとつの引き出しの奥底に、一束の手紙が、緑のリボンできっちり結ばれて隠されて在るのを発見いたし、いけないことでしょうけれども、リボンをほどいて、見てしまったのでございます。およそ三十通ほどの手紙、全部がそのM・Tさんからのお手紙だったのでございます。もっとも手紙のおもてには、M・Tさんのお名前は書かれておりませぬ。手紙の中にちゃんと書かれてあるのでございます。そうして、手紙のおもてには、差出人としていろいろの女のひとの名前が記されてあって、それがみんな、実在の、妹のお友達のお名前でございましたので、私も父も、こんなにどっさり男のひとと文通しているなど、夢にも気附かなかったのでございます。
きっと、そのM・Tという人は、用心深く、妹からお友達の名前をたくさん聞いて置いて、つぎつぎとその数ある名前を用いて手紙を寄こしていたのでございましょう。私は、それにきめてしまって、若い人たちの大胆さに、ひそかに舌を巻き、あの厳格な父に知れたら、どんなことになるだろう、と身震いするほどおそろしく、けれども、一通ずつ日附にしたがって読んでゆくにつれて、私まで、なんだか楽しく浮き浮きして来て、ときどきは、あまりの他愛なさに、ひとりでくすくす笑ってしまって、おしまいには自分自身にさえ、広い大きな世界がひらけて来るような気がいたしました。
私も、まだそのころは二十になったばかりで、若い女としての口には言えぬ苦しみも、いろいろあったのでございます。三十通あまりの、その手紙を、まるで谷川が流れ走るような感じで、ぐんぐん読んでいって、去年の秋の、最後の一通の手紙を、読みかけて、思わず立ちあがってしまいました。雷電に打たれたときの気持って、あんなものかも知れませぬ。のけぞるほどに、ぎょっと致しました。妹たちの恋愛は、心だけのものではなかったのです。もっと醜くすすんでいたのでございます。私は、手紙を焼きました。一通のこらず焼きました。M・Tは、その城下まちに住む、まずしい歌人の様子で、卑怯(ひきょう)なことには、妹の病気を知るとともに、妹を捨て、もうお互い忘れてしまいましょう、など残酷なこと平気でその手紙にも書いてあり、それっきり、一通の手紙も寄こさないらしい具合でございましたから、これは、私さえ黙って一生ひとに語らなければ、妹は、きれいな少女のままで死んでゆける。誰も、ごぞんじ無いのだ、と私は苦しさを胸一つにおさめて、けれども、その事実を知ってしまってからは、なおのこと妹が可哀そうで、いろいろ奇怪な空想も浮んで、私自身、胸がうずくような、甘酸っぱい、それは、いやな切ない思いで、あのような苦しみは、年ごろの女のひとでなければ、わからない、生地獄でございます。まるで、私が自身で、そんな憂き目に逢ったかのように、私は、ひとりで苦しんでおりました。あのころは、私自身も、ほんとに、少し、おかしかったのでございます。
90 名前:葉桜と魔笛 3:2008/05/07 20:08 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
「姉さん、読んでごらんなさい。なんのことやら、あたしには、ちっともわからない。」
私は、妹の不正直をしんから憎く思いました。
「読んでいいの?」そう小声で尋ねて、妹から手紙を受け取る私の指先は、当惑するほど震えていました。ひらいて読むまでもなく、私は、この手紙の文句を知っております。けれども私は、何くわぬ顔してそれを読まなければいけません。手紙には、こう書かれてあるのです。私は、手紙をろくろく見ずに、声立てて読みました。
――きょうは、あなたにおわびを申し上げます。僕がきょうまで、がまんしてあなたにお手紙差し上げなかったわけは、すべて僕の自信の無さからであります。僕は、貧しく、無能であります。あなたひとりを、どうしてあげることもできないのです。ただ言葉で、その言葉には、みじんも嘘が無いのでありますが、ただ言葉で、あなたへの愛の証明をするよりほかには、何ひとつできぬ僕自身の無力が、いやになったのです。あなたを、一日も、いや夢にさえ、忘れたことはないのです。けれども、僕は、あなたを、どうしてあげることもできない。それが、つらさに、僕は、あなたと、おわかれしようと思ったのです。あなたの不幸が大きくなればなるほど、そうして僕の愛情が深くなればなるほど、僕はあなたに近づきにくくなるのです。おわかりでしょうか。僕は、決して、ごまかしを言っているのではありません。僕は、それを僕自身の正義の責任感からと解していました。けれども、それは、僕のまちがい。僕は、はっきり間違って居りました。おわびを申し上げます。僕は、あなたに対して完璧(かんぺき)の人間になろうと、我慾を張っていただけのことだったのです。僕たち、さびしく無力なのだから、他になんにもできないのだから、せめて言葉だけでも、誠実こめてお贈りするのが、まことの、謙譲の美しい生きかたである、と僕はいまでは信じています。つねに、自身にできる限りの範囲で、それを為し遂げるように努力すべきだと思います。どんなに小さいことでもよい。タンポポの花一輪の贈りものでも、決して恥じずに差し出すのが、最も勇気ある、男らしい態度であると信じます。僕は、もう逃げません。僕は、あなたを愛しています。毎日、毎日、歌をつくってお送りします。それから、毎日、毎日、あなたのお庭の塀のそとで、口笛吹いて、お聞かせしましょう。あしたの晩の六時には、さっそく口笛、軍艦マアチ吹いてあげます。僕の口笛は、うまいですよ。いまのところ、それだけが、僕の力で、わけなくできる奉仕です。お笑いになっては、いけません。いや、お笑いになって下さい。元気でいて下さい。神さまは、きっとどこかで見ています。僕は、それを信じています。あなたも、僕も、ともに神の寵児(ちょうじ)です。きっと、美しい結婚できます。
待ち待ちて ことし咲きけり 桃の花 白と聞きつつ 花は紅なり
僕は勉強しています。すべては、うまくいっています。では、また、明日。M・T。
91 名前:葉桜と魔笛 4:2008/05/07 20:08 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
「姉さん、あたし知っているのよ。」妹は、澄んだ声でそう呟(つぶや)き、「ありがとう、姉さん、これ、姉さんが書いたのね。」
私は、あまりの恥ずかしさに、その手紙、千々に引き裂いて、自分の髪をくしゃくしゃ引き(むし)ってしまいたく思いました。いても立ってもおられぬ、とはあんな思いを指して言うのでしょう。私が書いたのだ。妹の苦しみを見かねて、私が、これから毎日、M・Tの筆蹟(ひっせき)を真似て、妹の死ぬる日まで、手紙を書き、下手な和歌を、苦心してつくり、それから晩の六時には、こっそり塀の外へ出て、口笛吹こうと思っていたのです。
恥かしかった。下手な歌みたいなものまで書いて、恥ずかしゅうございました。身も世も、あらぬ思いで、私は、すぐには返事も、できませんでした。
「姉さん、心配なさらなくても、いいのよ。」妹は、不思議にも落ちついて、崇高なくらいに美しく微笑していました。「姉さん、あの緑のリボンで結んであった手紙を見たのでしょう? あれは、ウソ。あたし、あんまり淋しいから、おととしの秋から、ひとりであんな手紙書いて、あたしに宛(あ)てて投函していたの。姉さん、ばかにしないでね。青春というものは、ずいぶん大事なものなのよ。あたし、病気になってから、それが、はっきりわかって来たの。ひとりで、自分あての手紙なんか書いてるなんて、汚い。あさましい。ばかだ。あたしは、ほんとうに男のかたと、大胆に遊べば、よかった。あたしのからだを、しっかり抱いてもらいたかった。姉さん、あたしは今までいちども、恋人どころか、よその男のかたと話してみたこともなかった。姉さんだって、そうなのね。姉さん、あたしたち間違っていた。お悧巧(りこう)すぎた。ああ、死ぬなんて、いやだ。あたしの手が、指先が、髪が、可哀そう。死ぬなんて、いやだ。いやだ。」
私は、かなしいやら、こわいやら、うれしいやら、はずかしいやら、胸が一ぱいになり、わからなくなってしまいまして、妹の痩せた頬に、私の頬をぴったり押しつけ、ただもう涙が出て来て、そっと妹を抱いてあげました。そのとき、ああ、聞えるのです。低く幽(かす)かに、でも、たしかに、軍艦マアチの口笛でございます。妹も、耳をすましました。ああ、時計を見ると六時なのです。私たち、言い知れぬ恐怖に、強く強く抱き合ったまま、身じろぎもせず、そのお庭の葉桜の奥から聞えて来る不思議なマアチに耳をすまして居りました。
神さまは、在る。きっと、いる。私は、それを信じました。妹は、それから三日目に死にました。医者は、首をかしげておりました。あまりに静かに、早く息をひきとったからでございましょう。けれども、私は、そのとき驚かなかった。何もかも神さまの、おぼしめしと信じていました。
いまは、――年とって、もろもろの物慾が出て来て、お恥かしゅうございます。信仰とやらも少し薄らいでまいったのでございましょうか、あの口笛も、ひょっとしたら、父の仕業(しわざ)ではなかったろうかと、なんだかそんな疑いを持つこともございます。学校のおつとめからお帰りになって、隣りのお部屋で、私たちの話を立聞きして、ふびんに思い、厳酷の父としては一世一代の狂言したのではなかろうか、と思うことも、ございますが、まさか、そんなこともないでしょうね。父が在世中なれば、問いただすこともできるのですが、父がなくなって、もう、かれこれ十五年にもなりますものね。いや、やっぱり神さまのお恵みでございましょう。
私は、そう信じて安心しておりたいのでございますけれども、どうも、年とって来ると、物慾が起り、信仰も薄らいでまいって、いけないと存じます。
92 名前:fairy:2008/05/07 20:37 ID:lG8tV308pE IP:220.102.149.64
-
あのさ、面倒臭いんだけど。
ていうか迷惑でしょ!!!!!
93 名前:通りすがり:2008/05/07 20:56 ID:wFJuVp6ACw IP:222.7.57.83(ezweb)
-
小説を書きまくるのは良いけど興味の無い人にとっては凄い迷惑だな、荒らしと同じです。
94 名前:すてるす:2008/05/07 21:07 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
>>97
芥川も太宰はその影響を受けて自殺しましたね。太宰の自殺に関しては
付き合っている女性と別れたいために心中を装って自分だけ助かって
何回か同じ事を繰り返してた様ですね。推測ですけどね。太宰で好きなのは
女生徒とかやっぱりメロスですね。芥川ならくもの糸とか羅生門とか杜子春ですね。
二人とも30代で自殺この辺はスレチでは無いかも川端康成も自殺三島由紀夫も自殺。
何で才能がある人が自殺を選ぶのか考えてしまいます。
そうで無くとも死んでしまった。妹の話ですか・・・。
いい人て短命なんですかね。
私は中学の時同級生を白血病で亡くしました。
皆に愛されるキャラでしたのでお葬式には大勢集まりました。
その日は朝から雨でなみだ隠すためそらに向けて顔を向けた事を憶えています。
安らかな死に顔でした。くすりの後遺症でスキンヘッドでしたけど
彼は生前そんなこと気にしてないように見えました。
学校の成績も良い方でした。長期入院する事もあったのですが・・・。
彼は常に努力してたのでしょうね。800字には足りませんがスレ主さんのために辞めてください。
都築ちゃんへ
95 名前:fairy:2008/05/07 21:24 ID:lG8tV308pE IP:220.102.149.64
-
なんか固まってる。
なんだこりゃ・・・
96 名前:Lucy:2008/05/07 21:27 ID:welOJFQJ0g IP:122.17.243.127
-
>>52
>絶望
>希望
>孤独
詩にこのような象徴的に一般化された紋切り型の言葉を安易に使用してはならない。
「孤独」という黴の生えた激しく腐臭を放つ言葉を使わずに、「孤独」を表現するのが文芸なのである。「絶望」「希望」も然り。
>眼からあついものがあふれてくる
きわめて非常に完璧に果てしなく陳腐である。
>>83
>芥川龍之介の「秋」と「冬」を読んだ感想を、800字程度で提出
すこしワクワクするねえ。
>>92-93
>迷惑
くだらない投稿を読むよりはずっといい。
97 名前:すてるす:2008/05/07 21:28 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
>>95fairyさんごめんなさい。
おれが都築さん怒らせたからです。
98 名前:fairy:2008/05/07 21:34 ID:lG8tV308pE IP:220.102.149.64
-
すてるすさん
乗ったのは都築さんだから、すてるすさんだけが悪いわけじゃない。
それにさ>96みたいな人も居るみたいだしね・・・
ま、どうこういうなら、黙って本読んでたら?って思うけどな
99 名前:すてるす:2008/05/07 21:38 ID:NMHpmniHi2 IP:116.80.242.76
-
>>98fairyさんありがとうございます。
あらためてここの住人のみなさまにおわびいたします。
100 名前:都築:2008/05/07 22:18 ID:LdWrjzEkFQ IP:59.171.133.49
-
>>94
却下。
感想もしくは批評としての体裁が整ってないだろうが。
誰が、太宰と芥川と自殺をテーマに随筆を書け、と言った?
160.50Kbytes 2chは使っていない2ch風掲示板ですが何か?
続きを読む
掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
(C) read.c ver4.1 http://www.toshinari.net by toshinari(06/03/05)