いっしょに生きよう - 死にたいあなたへ
嘆き川柳 お絵かき掲示板
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横断歩道の怪
塾の帰り、暗くなりかけた空。


…よく通る横断歩道。
僕はいつも、顔をふせて渡る。
ふせているせいで、僕の目には地面しか映らない。
まだ、顔を上げたくなる衝動はまだあるけど。…でも、もう慣れた。


空が暗くなりかける時間に、この横断歩道を渡る時には…
決して、顔を上げて歩いてはいけないという決まりがあるらしい。


この情報は、ここに住む人、みんなが知っている。
でも、最近引っ越してきた僕には、どうして、顔をふせて歩かなければならないのか、
その理由は、まだ、知らない。


友達にも聞いてまわったけど、誰一人顔を振って知らないと…いや。
中には、「なんでそんなこと聞くの?」とか、「うわ、そんなん聞くなよ。」とか、
なんか知ってそうなふりをする人もいたけど。
何度か粘っても、その人たちは、その訳を教えてくれなかった。


…ある日。
どうしても、理由が知りたくなった僕は、町の人たちに、その訳を聞いてまわることにした。
まずはよく行くお店から。


本屋のおじさんや、
道行く人たち、
スーパーのおばさん、
行けるところは隅々まで、聞いてまわって。


…結局、具体的な理由は見つからなかったけど、ひとつだけ得た説があった。
あるおばあちゃんから聞いた説で…


夜、または深夜になると、横断歩道で6〜7歳ぐらいの子供が、道路で白線を踏む遊びを始めるという。
その子供には決して声をかけちゃいけないし、顔を見せてもいけない。
もし、声をかけたり、顔を見せたりしてしまったら…。


おばあちゃんは、その先を言いかけたとたん、いきなりハッとして、教えてくれなかった。
もったいぶってるんだろうと思って僕はまた、粘って質問してみたけど。
「知っちゃいけない。その先だけは勘弁しとくれ。」
おばあちゃんは険しい顔でそういった。
最後に、「二度と聞くな」と注意してきた。


…その真実は、実際に目で見てみないと分からないんだなぁと思った。
そうまでして否定されると余計気になってくる。
それが人の悪いところだろう。
僕は、その件にはもう二度と手を出さないことにした。




…あれから、2年。


あのことはもう半ば忘れかけてた、ある日のこと。
記憶はまた、引き戻されることになるのだった。
僕のクラスに、転校生がやってきた。
梁田 健君。


遠いところから来たらしく、この町も初めてだとか。
名前からして当然、僕らにとっては珍しかった。
梁田君はすぐにみんなとうち解けて、クラスのムードメーカー的な存在になった。
そして偶然、僕の隣の席になって、「よろしく!」と、明るく声をかけてきた。


その時から、嫌な予感はしていた。
なるべく僕とは遠くて、通学路も全く違う家だといいんだけど…。


…予想は外れた。
梁田君は僕と同じ通学路らしかった。
伝えなきゃ。でも、梁田君…。
ちゃんと守れるかな、あの決まりごと…。
…って。僕がしっかりしなきゃ、駄目だよな。…ははは。


帰りの時間。僕は梁田君に、「一緒に帰ろう。」と誘った。
梁田君はOKして、「じゃ、どっちが先に校舎を出るか競争な!」と言ってた。
「えっ?」…という間もなく、僕はこの後、梁田君を追いかけるはめになった。
梁田君は足が速くて、やっとのことで追いついた時にはもう、息が上がりそうだった。


「はいっ、俺の勝ちっ!」
梁田君は笑顔でピースをした。
…僕は、なんだか、ますます不安になった。
うまくあの決まりを言いだせるか、という不安より。
信じて、実行もらえるだろうか、決まりを破らないだろうか、という不安のほうが強かった。

「梁田君。」
「…ん?」
「この帰り道通る時、決まりがあるんだ。」
「へー、何それ?」

うーん…。
なんて言ったら、信じてくれるんだろう…。
梁田君はやっちゃいけないこと、やっちゃいそうだしなぁ。

「え、えーっと。」
「…なぁ、ひょっとして大事な話?」
「え?!」

予想外な質問に思わず落ち着きをなくしてしまった。

「な、ななななんでわかったぁ?!」
「えっ!…あ、いや。なんかそんな雰囲気出てたし。」
「そ、そっか。」

何だ、梁田君って、意外と話わかる人だったのかな。
でもこの決まり、意外と我慢のスキルがないと…。

「…で、それって横断歩道の話だったりする?」
「!?」

え、もう…知ってたの?!

「…知ってたの?」
「あ、あぁ。横断歩道が危ないって。」
「それだけ?」
「それだけ。」

クラスの誰か注意してくれた人いたんだな、助かった。

僕は決まりを梁田君に話した。
梁田君は納得のいったような顔をして、決まりを守ると約束してくれた。
でも、これは本当にやっちゃいけないことだから、僕は二度注意しておいた。
後は梁田君次第だ。


しかし…。
2年前にあるおばあちゃんから聞いた説を改めて思い出してみると。
…やっぱり、だんだん気になってきて。
もしも、顔をあげてしまったら、どうなるんだろう…?
14/01/27 23:09更新 /

■作者メッセージ
私は元、砂というネームで小説書いてました。
砂の小説へ感想、投票して下さった皆さん、ありがとうございます。
えっと、なんかめっちゃ締まらない形で終わりました。
これは失敗作ということで…。
「読み切りなら最後まで書けよ!」って思った方、すみませんでした。

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