いっしょに生きよう - 死にたいあなたへ
嘆き川柳 お絵かき掲示板
読切小説
[TOP]
さようなら。
「…遺体の身元は―――」
九条真奈美、15歳、県で一、二位を争うバカ学校に進学して、通ってました。
「九条真奈美、15歳、1年C組。転落死です。」
九条真奈美は、小学校の時から多少の嫌がらせを受けてきた少々わけありで、わけありだからこそこんなこんな性格になってしまった可哀そうな子です。
「嫌がらせ」と表記したのは、その程度だったからです。普通に友達もいたし、周りからは何を考えてるかわからないとか言われたけど。まあそれだけだったし。

九条真奈美はいろいろな現実を乗り越え高校生になりました。高校では中学までとは違い、一層楽しい生活が待っていました。何でも話せる友達もできたし、彼氏もできたし。彼氏自体は小中の時もいましたがそれとはまるで桁違い、まるで初恋。生まれて初めて愛を知ったような気分でした。九条真奈美は二人はうまくいっていると思っていました。
半年付き合っていて、将来も考えていました。彼は九条真奈美の家庭の事情も知っていて、そのうえでいつでも逃げ込めるようにと自分のアパートの合鍵をくれました。九条真奈美は彼が大好きです、愛しています。



月日がたち、一年がたとうとしていた冬の日のことでした。その日はとても寒くて、23時頃の三崎口なんて「死ぬ。」軽く凍死できるレベルでした。マフラーをまちこまきにして、大きいダッフルコートに身を包んだ少女はバスターミナルで東丘行きの終バスを待っていました。
赤い唇、少し赤みがかった頬、かじかんだ指先にバス代と合鍵を握りしめ。

バスは終バスというのもあり、ほとんど人は乗っていませんでした。
がらんとすいたバスに乗るとき運転手さんの目が心配でハラハラしましたが無事に乗れて。
流れる田舎景色を見ながら「…ふふ」もうすぐ彼に逢える。ああ、このことを伝えたら彼は喜んでくれるだろうか。サプライズにしたくて連絡していないけれど、大丈夫かしら? ああ、早く会いたい。彼の喜ぶ顔が見たい。


彼のアパートはバスを降りて、住宅街の路地をまっすぐ進んで松の木のある家を通り越したところにあります。
安アパートの外階段を「カンカンカン」音を立てて上がってゆきます。彼の部屋は一番奥の部屋。そこを目指して歩くたび胸から言葉にならない感情があふれてきます。
連絡もしないで来て、怒るかなあ…報告を聞いたら喜ぶかなあ…私が来たの喜んでくれるかなあ…恥ずかしいなあ…

かじかむ足で彼の部屋の前に立って「…ふう。」気合を入れて鍵を開けるとそこには―――

あれ。女物の靴がある、仕事関係?でも彼の職場に女の人は…クライアントさん?同級生?でも同級生ならどうして一人で来たの?

いろいろな不安が頭を駆け巡り「ゆうたぁ…」彼の寝室の引き戸に手をかけた時でした。中から異様な声が。「まずい、クソッなんで今来るんだよ…」「ねえ、今女の人の声したよ?名前呼んでたよね?誰?」「いや、その…幼馴染だよ、幼馴染。来るときは連絡よこせっつってんだけどwははww」「ガラッ」


彼はベッドの上で、裸の女の人と一緒でした。

それからのことはよく覚えていません。彼と女の人とすごく言い争いになって、お腹中ちゃんがいるって言ったら彼は「は?知らないよほかの奴の子だろ?」とかしらを切って。
もう人生に疲れました。私、今までずっと彼を信じて生きてきたのに。あなたとなら死んでもいいって思っていたのに。
なんだかもう、ここを超えてしまえば楽になれる気がする。
風吹く屋上、見知ったグラウンドが広がってる。グラウンドの前には渡り廊下がある。このまま、手すりから手を離せば私は死ぬでしょう。最後はできるだけ明るく行こう。「えいっ」

「死体の身元は、1年C組、九条真奈美、転落死です。」
15/02/18 18:51更新 / まるた。

■作者メッセージ
九条真奈美の死にざま、生きざまについて書いたつもりです。
駄文申し訳ない。

TOP | RSS | 感想

[携帯専用] まろやか投稿小説 Ver1.53c