いっしょに生きよう - 死にたいあなたへ
嘆き川柳 お絵かき掲示板
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レモンミント
暑い、むしむしする、ああ、アイスが食べたい。
足元の石ころを蹴る、変な方向に飛んでしまう。
友人Pと商店街を歩いていました、こんな話をしていました。
今日、世界が滅びる。唯一安全な場所が、これから行く場所です、
というような事を小学生のPが言いました。
今日はいつも通り何もないいい天気ですよ、何を言っているのやら?
竜が空から飛んできて、町を焼き尽くすのだと、言っていました。

「ああ着いた、あそこのアイスクリーム屋だ」
何故アイスクリーム屋なのか?アイスだから竜の炎に強い場所なのか?なんのことだ。
「俺お金持ってないんだけど、代わりに払ってくれ」
無邪気な笑顔でPが言いました。私が払うのですか。
つづけて「レモンミント味(二つ)ね、それ頼むと、店の隠し部屋に入れるんだ」と。
いぶかしげな顔をして、店員が、店の中の奥へと入れてくれました。

木の板でできた床の小さな部屋でした。正面に教壇(の様な机)が有りました。
「・・・何でレモンミントとか知っているの?」と、私。
「俺この店の店長の子供なの、言ってなかったっけ?」と、P。
今日世界が滅びるなんて、冗談みたいだ、冗談だろう
さっきからセミの鳴き声がうるさい、窓が全然しまっていませんでした。
これでは、竜の攻撃には耐えきれないだろう。
しかし、冗談にしては少し手が込んでいる。
何のためにここへ、連れてこられたのだろうか?
ああ、それにしても暑い、アイスが手にぼとぼととこぼれ落ちている。
しばらくすると、部屋に人が集まってきていた。

「やあP」背の高いホクロが鼻のすぐ下の変な位置についているおじさんが言った
「お父さん」・・・そうか、Pの父親か、しかし、全然似てはいませんでした。
そのおじさんは、くるりと背を向け、教壇に立ち、こちらを見渡して
こうしゃべり始めました。「今日、竜が世界を焼き尽くすのは知っていますね
旧約聖書にある、ノアの大洪水のように、今日世界がリセットされます
人々は堕落し過ぎてしまった、人々は平坦になってしまいました、分かりますね?
しかし怖がらなくていい、我々は選ばれたのだ、生き残るのです」・・・あちらこちらで
人々がむせび泣いている。演説者は私を見た「なぜそれを私が知っているのか?
天から声が聞こえたのだ」「さあ、もう時間が無い、お前たち、教壇の後ろに隠れなさい」
私はなんだかすべてが本当の様な気がして、怖くなってきていたのでした
スマートフォンが落ちていて、画面には上空が写っていました。
画面が目の前に広がり、目の端に翼が見えました、轟音が鳴りました
世界が滅びる音でした。私は恐ろしくて教壇の後ろで目をぎゅっとつぶり
耳をふさいで、丸くなっていました、爆弾を落とされたときに
空気圧で目が飛び出てしまうというのを、聞いたことが有り、そうしていたのでした。

しばらくすると音はやんでいました。「我々は助かったのだ」と、目の前の人は言いました。
顔が影になっていて、誰なのかはわかりませんでした。瞬間人影は、ふ、と消えてしまいました。
見渡すともともと何事もなかったかのように、しんとしていて、P君も演説者も誰もいませんでした。
ドアが、ギィ、と音をたて開いていて、私は部屋を後にしました。
町は、何も変わらず、動き続けていました、しかし、何かが変わっていた
様な気がするのでした。・・・何かが変わっていた、様な気がするのでした・・・
14/03/25 22:34更新 / ぷら

■作者メッセージ
あの人は水蒸気になって、天井に吸い込まれたのかもしれません。

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