いっしょに生きよう - 死にたいあなたへ
嘆き川柳 お絵かき掲示板
読切小説
[TOP]
ローカル線
僕は、あるローカル線の電車だ。
僕は、都市部の電車と違って一両で走行するし、本数は一時間に一本、利用者もそんなには多くないけどこの線路を走れる事に誇りを感じている。
昔は車内のイスに座りきれなくて、立ってつり革に捕まっている人もいた、と先輩電車のはやぶささんは言っていた。あの頃が一番賑やかで楽しかった、と少し寂しそうに語っていたはやぶささんは数年前に廃車になって、僕の分からないところに行ってしまった。
しかし、僕にはやぶささんとの別れを悲しむ時間はなくはやぶささんが居なくなってからも毎日毎日同じ線路を走り続けた。
ある日、僕はいつも通り始発の駅に到着した。僕はそこで信じられない光景を見た。駅にたくさんの人がいたのだ。いつもなら駅のホームに1,2人の人がいればいい方で最悪誰もいない日もある。なのにこの日は駅のホームに数え切れないほどの人が居た。
駅員が僕の車体に「さよなら 青島線!〜お別れ運転〜」と書かれた横断幕を取り付けた。僕は、全てを悟った。
つまり、僕が毎日毎日走っていたこの路線は廃止されるという事だ。
僕は今まで乗せたことがないほどの人数の乗客を乗せた。僕はこの線路を走るのは今日が最後だと思うと非常に悲しかったがたくさんの人を乗せて走れることが何よりも嬉しかった。
この日はどこの駅でもたくさんの人が出迎えてくれた。僕はたくさんの人がこの列車に乗ってくれたのでいつも以上に線路を楽しく走ることができた。
しかし、楽しい時間はすぐに過ぎてしまうものだった。
始発駅から終点まで、1時間15分かかるがこの1時間15分はあっという間だった。
僕は、終点ですべての乗客を降ろして車庫に入った。
車庫に入って停車した後、運転手さんは僕の車体に取り付けられた横断幕を取りながら「今まで本当にありがとうな」と言ってくれた。運転手さんは泣いていた。

青島線は廃止され、僕は今、青島市内の公園に展示されている。僕の隣には僕より一足先に廃車になったはやぶささんがいる。
少し錆びてしまったはやぶささんは「また会えたね」と言ってくれた。
「また、線路を走れるといいな」そう言うはやぶささんの顔は少し幸せそうだった。
16/03/15 23:50更新 / 亜樽

TOP | RSS | 感想

[携帯専用] まろやか投稿小説 Ver1.53c