いっしょに生きよう - 死にたいあなたへ
嘆き川柳 お絵かき掲示板
連載小説
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僕はいない
 拝啓 先生へ。
 お元気してますか?今は、暑いですか?先生のまわりの色は、何色でしょうか。私のまわりの色は、白です。
 
 読み慣れた文字。文章。私は今、風鈴のおとに涼みながら、椅子に座り、静かに手紙を読んでいた。少し古い紙に書かれた、あの子の字。今までの思い出を、ふとよみがえらせた。
[ヤバいヤバい!母さん!送って!]
[はいはい]
 娘の前田美姫。私の名前は前田真央。夫は前田隆志さん。そして今、階段を猛スピードで下りてきたのが美姫。中学のセーラー服を着て、寝癖をそのままでやって来た。
[ご飯食べちゃいな]
[うん]
 隆志さんはもう仕事でいない。わたしは朝作ったスムージーとスクランブルエッグ、ソーセージ、ロールパンを白いお皿にのせてテーブルに並べた。美姫は急いで食らいつく、様子もなく、いたって普通に食べていた。車で送ってもらうのを良いことにゆっくり用意しようと言うものだろう。
[そう言えばさ、あの写真の、お母さんの隣にいる子って誰?]
[え?あぁ、教え子よ]
[教え子と遊園地?]
[それがね、普通の子じゃないの]
[出会ったきっかけとか]
[路上よ]
[は?]
 そう。本当に、ファンタジーの世界に入り込んだかのような、いえ、確実にファンタジーの世界にいた本当に普通の子供じゃ無かった。レヴェルハーツとかなんとか...
[どういう意味?]
[知りたい?]
[そりゃ、まぁ]
[それは...]
 予想だにしなかったとある教え子との出会いは、いつしか私の心を虜にして、別れが悲しくなるほど、言葉じゃ表せない愛を抱くようになった。本当に、ファンタジーだった。

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