恋は、夢見ることにとても似ている。
愛する人と別れた翌朝、誰もが夢から覚めたようにこれから始まる現実に直面するものです。
ああ、やっぱり別れてしまったのだ‥。
日常生活のふとした瞬間に、何度も思い出し、自分に言い聞かせている。
恋をした瞬間に世界がばら色になるのと同じ変化で、別れもまた世界を一変させてしまう。
その厳しい現実の中で、もう一度自分を立て直していくのです。
いろいろな別れがあります。
幸せの色はひと色でも、不幸な色はたくさんある‥という言葉の通り、別れにはさまざまな理由があります。
傷の大きさも悲しみの深さも、それによってさまざまでしょう。
大嫌いになって別れるのならともかく、別れに後におそってくるのはとてつもない喪失感。
心のいちばん近くにいてくれた人が自分からいちばん遠い人になってしまうのですから。
ぽっかりとクレーターのように開いてしまった穴をどう埋めていったらいいのか。
あまりにも所在なくなってしまった自分の身の置き所を探し、途方にくれてしまうかもしれません。
別れは死に似ています。
「ああ、もう会えないんだ」
という失ったことへの思いは、繰り返し波のようにやってきます。
そして淋しさ、孤独、悲しみ‥をすこしずつ弔いながら、やっと一歩踏み出せるようになるのです。
弔いは、癒すこと。
淋しい自分と向き合い、別れた悲しみを味わい、それでもすばらしい日々を一緒に過ごせた恋人に感謝し、別れた意味を胸に問いかけるうちに、傷は少しずつ治癒していくのです。
そんな感情を昇華し、天にお返しできたときに、また誰かを愛せる自分になっていることでしょう。