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縁と記憶と走馬燈 日時： 2013/05/18 22:10　( dion) 名前： うゆ 今日も単語を覚え、ひとしきりの英文翻訳に励みました。 周りの応援を受けて、私は美大進学を断念し、かの大学へ入学すべく日々己の学識を磨いています。 気づけばもうそんな生活を始めてから１ヶ月が経ち、今の生活にも慣れが生じてくる時期になってしまいました。 授業のない今日という日に現れた、一瞬の気のゆるみが今の後悔へ繋がってしまったのです。 悩みを相談する相手も居なくなった今、私は携帯の電源を切り、暗い部屋に明るいディスプレイを灯し、まさに人知れぬ心の傷を書き記さんとしています。 友人に、一ヶ月ぶりに連絡をとりました。 彼女は自分の望みが叶い、希望の大学での経験を今まさに積んでいることでしょう。 私はそんな人と連絡をとるべきではなかったのです。 文化圏の違う生物は、同じ言葉を使っていても、そのコンテクストは理解し合うことができません。 勉学に勤めるために断ち切った友好関係を、また結んでしまったこと自体が間違いでした。 神様に誓ったことを破れば、罰があたってもそれは当然なのです。 彼女を羨む感情ではなく、自分の置かれた位置を承服してしまったことから来る自責の念が天罰となったようです。 その感情が無意識に文体に現れたせいか、それゆえ彼女が私をどうでも良い存在と見なしたのか、返事は途中で途絶えました。 他人を嫌うことは極力避けてきた私ですが、少ない縁を自ら切るような行動に及んだのは、私が知覚し体験した全てのつながりを断ち切りたいと願ったからでしょう。 それからというもの、口の中に綿を詰められ、胃の中に溶岩を流されたような感触に苛まれています。 蒔いた種はいずれ蔓になり、足を縛ってしまいます。 立ち上がる気力もなく、千切る力も道具もない状態では、その蔓は全身を覆ってしまうのです。 その種は既に去年の１１月、私の足下に蒔かれていたようで、順調に育った蔓は、まさに私の臍のあたりまできているようです。 もう手遅れなのです。私は携帯の電源を切り、部屋に一人閉じこもり、参考書に目もくれず、インターネットがもたらすバーチャルリアリティという人類の仮の理想郷へ身を投じてしまいました。 昔、目を輝かせながら夢を語ったあの頃の私を、走馬燈がうるさいくらいに映し出しています。 そして、人類を離脱する心構えが完成しました。本当の理想郷が存在するのなら、きっとその先にあるのでしょう。 そこに向かえば、何になることもなく、存在することもなく、時間にも空間にも概念にも触れることがない。 Tweet ▼

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