いじめ ほうりつ |
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- 日時: 2014/10/17 12:55 188
- 名前: つり
- いじめに関係する法律・法規
全ての日本国民は、憲法11条が明記しているように、公共の福祉に反しない限り「基本的人権」を有しているとされています。従って、いじめによってこれが侵害され得ないことは、憲法で保証されているいえるでしょう。
義務教育という現場に置いては、教育そのものに加えて、学校側は通学する学童・生徒の安全を確保する義務も有するとされています。(学校教育法および文部省通知 第386号 平8年7月26日)
このような法規がある教育現場で、学童・生徒が、障害や、心身の苦痛または財産状の損失を被ってはならないと明記してあるのです。 しかし今日の「いじめ」は、明らかに子どもの基本的な権利を侵害し、かつ、多くの法律・法規を犯していると言わざるを得ません。 さらに、「集団で無視をする」、「みんなで悪口を言う」といった事はいわゆる「いじめ」であり、これに対しては、強権を行使することはできません。 これらは粘り強い指導や、話し合いで解決していくべきものかもしれません。 しかし、暴行や恐喝は紛れもなく「犯罪」であり「いじめ」とはまったく性質が違うものです。 従って、対処法(犯罪被害者を直ちに救い出す強権発動が必要)も異なると考えられます。 にもかかわらず、教育現場や教育行政では、暴行や恐喝までも十把一絡げに「いじめ」として処理してしまう傾向があり、そのために「犯罪」への対処がおろそかになってしまっているのが現状です。 これでは不幸な被害者を救い出すことはできません。 「いじめ」と「犯罪」を厳格に分離し、犯罪対策を徹底的に強化するべきであるとおもいます。
いじめ問題への緊急提言 A:いじめ被害者を守る法律・法規 全ての子どもは、安全に生活し、教育を受けることが様々な法律によって保証されています。 それらの法律が子どもの権利を守っているのです。 しかし、いじめは保証された子どもの権利を大いに侵害するものです。 子どもの権利を守るためには、いじめ被害からは絶対に守られなけばなりません。 (1)日本国憲法 (法律:日本国憲法へ) 基本的人権の尊重は、日本国憲法の精神の中枢とも言うべき項目です。
第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。 第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。 第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。 2 日本国が締結した条約(例:国連憲章)及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
(3)学校教育法 (法律:改正 学校教育法へ) 第35条 市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。 1 他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為 2 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為 3 施設又は設備を損壊する行為 4 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
B:いじめ加害者を罰する法律・法規 いじめと言われている行為の中には、単なるいじめの範疇を越え、犯罪的行為が行われている場合も少なくありません。 明らかに違法な犯罪行為でありながら、学校側、マスコミが「いじめ」としてとらえている風潮も気になります。 学校での教育は、憲法や教育基本法、学校教育法のみに限らず、刑法や民法という大きな規範に拘束されているのです。
いじめ被害の現状が以下の刑法上の罪に当たる場合は、被害届けを出す事も必要です。 悪いのはいじめ加害者です。 明らかに違法な行為が為されたときには被害者が泣き寝入りする必要は在りません。 訴えることが、かえっていじめの助長になるのも事実かもしれません。 そうであるならば、少なくとも学校側が、毅然とした態度で臨む事がいじめの撲滅につながるものと思います。
刑法 (法律:刑法へ) 199条:殺人罪 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。 傷害致死や自殺教唆に思われるものでも、「未必の故意」による殺人罪として立件されることもある。
第201条(予備) 第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。 ただし、情状により、その刑を免除することができる。
第202条:自殺関与及び同意殺人 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
個別的には、以下のようになります。 自殺教唆罪=人を教唆して自殺させる(とびおりろ、など)。 自殺幇助罪=人を幇助して自殺させる。 嘱託殺人罪=人の嘱託を受けてその人を殺害する。 承諾殺人罪(同意殺人罪)=人の承諾を得てその人を殺害する。 これらは殺人罪の減刑類型であり、法定刑は全て、6ヶ月以上7年以下の懲役又は禁錮と殺人罪よりも軽い。 これらの罪の未遂も罰せられる(刑法第203条)。
第203条:未遂罪 第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
第204条:傷害罪 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 (例)殴って怪我をさせる。
第205条:傷害致死罪 (例)集団によるリンチによって、被害者が死亡したような場合には傷害致死罪となる
第208条:暴行罪 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 (例)殴る、蹴る、刺す、縛る。ナイフで刺すふりをする、ナイフを見せる。タバコをからだに押し付けるなど。
第222条:脅迫罪 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。言葉や態度で脅す。
第223条:強要罪 命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。 (例)常々いじめられる者同士を喧嘩させる、鞄を持たせる、使い走り。
第230条:名誉毀損罪 (親告罪) 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
第231条:侮辱罪 (親告罪) 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。 (例)中傷ビラの頒布。
第249条:恐喝罪 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第261条:器物損壊罪 (親告罪) 他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。 (例)被害者の所持品に落書きする、隠す、捨てる、壊す。
第176条:強制わいせつ罪 (親告罪) 十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。 (例)衣服を剥奪する・脱衣を強要する、性器の露出・それらへのいたずらや攻撃。
第177条:強姦罪 (親告罪) 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
民法 いじめは法的に不法行為であり、損害賠償の責任が行為者に発生します。 ただし、行為の責任を弁識する能力を有しない未成年者については責任無能力者として、責任は否定されています(712条)。しかし、その場合には民法714条の親権者の責任が問題になります。 不法行為とは、故意または過失により他人の権利を侵害(民法709条)した場合をいい、「いじめ」の場合、慰謝料(精神的苦痛に対する償い)を加害者(監督責任を問える場合には親にも)に請求することができます。 また、学校側(教師)の監督義務者としての義務違反があれば、同様に損害賠償請求することができます。 しかし、現実問題としては、この不法行為責任を追求するには、被害者側が不法行為であること(いじめの事実)を立証しなければならず、さらにもし加害者に資力がなければ賠償金をとることができません。
第709条:不法行為による損害賠償 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
第710条:財産以外の損害の賠償 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
第712条:責任能力 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
第713条:責任能力 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。 ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。
第714条:責任無能力者の監督義務者等の責任 前2条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。 ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。 2 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う 【補足】 親告罪とは、刑法その他の特別法に「告訴がなければ公訴を提起することができない」と規定されている犯罪です。
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