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教師による安全義務

日時: 2012/10/25 11:58  docomo
名前: ちぃ兄



日本には『学校教育法』という法律があり、教師にはイジメ問題を解決する義務があります。

教師が学校でのイジメを放置すれば法律違反となり、教師に対し罪を問うことができます。

また、教師には『イジメの予見義務』というのがあり、教師にはイジメを防止したり、イジメを見つける義務があります。

『イジメがあったのは知らなかった』

というのは通用しません。


以下の文章はサイト『学校といじめ』からの引用です。

※※※※※※※※※※※※※※※



■いじめの場としての学校

いじめの最多発場所は学校です。

子どもは学校に通わなければなりません。

そこでいじめが行われたならば、学校はそれを看過出来ない義務を持っています。

学校の安全義務・責任

学校教育法の趣旨に沿えば、校長や教師はその教育活動にともなって、生徒に対し、生徒の生命・身体の安全を守るべき義務を負うとされています。

これは、総じて、安全保持義務、安全配慮義務、安全確保義務、安全注意義務などと呼ばれています。


したがって、校長や教師が、いじめを看過し、または放置したことによって被害が発生した場合には、この義務懈怠(けたい)に対し主に民事上の損害賠償責任が問われることになります。


被害生徒側が学校側に損害賠償請求をする根拠としては、不法行為と債務不履行をあげることができます。

このように、学校側には上記の様な責任があります。
確かにいじめの中心舞台は、学校で為されることが最も多いでしょう。

しかし、いじめは学校、家庭、社会などすべての環境に起因する問題です。

学校のみが全ての責任を負い、いじめを根絶できるものではありません。

したがって、学校の負うべき責任の範囲にも自ずと限界があると考えなければなりません。

それをカバーして、一歩ずつでもいじめの根絶を果たすためには、子どもを育て見守る親自信の自覚と、保身にとらわれない学校側の真摯な努力の協調が必要であると強く感じます。



1.学校の安全義務・責任

 学校側の安全義務について、「学校教育法等」にはこの安全義務を定めた明文の規定がないので、この義務の根拠は明かではありません。


しかし、学校教育法の精神ないし立法趣旨、学校教育の条理、信義則に従えば、その根拠を求め得ることができると思われます。


さらに、「平成8年7月26日の文部省通知」でも示されているように、学校側が職務上当然にこの義務を負うことは否定できるものではありません。


すなわち、 「いじめについての学校側の安全義務」とは、学校側がいじめによる被害発生を防止ないし軽減すべき適切な対策を行わなければならないという作為義務です。


したがって、校長や教師が、いじめを看過し、または放置したことによって被害が発生した場合には、この義務懈怠に対し主に民事上
(不法行為と債務不履行)の損害賠償責任が問われることになります。

いじめの結果生じた被害の程度などの具体的状況に応じて判断されることになります。



2.いじめ予見義務


いじめは、陰湿化し、教師等の目の届かない所で行われることが多いため、これを防止するのが困難であると言われています。

そのためには、生徒の動向に関心を払い、注意深く観察するなどして、その発見に努めることが重要であり、教師の職務の一つであると認識されています。

すなわち、学校側の安全義務には、「いじめ予見義務」が含まれるといえます。


(1) 予見可能性


学校側の責任を問うためには、「被害の発生を予見することが可能であった」、ということが要件となります。

つまり、学校側が損害の発生を予測していた場合、あるいは損害の発生が通常予測され得るもので、通常人の経験則から相当の注意を払えば予測できるものである場合でなければなりません。

具体的には、「ある生徒の行動により、他の生徒の生命、身体、精神、財産等に重大な危害が及ぶことが現実に予想される」ような場合です。



(2) 予見の困難性


近年のいじめの特質は、それが隠れて行われ、被害生徒もいじめの事実を学校や親に言わない傾向が強いことです。

被害生徒自身が被害事実を言わない理由としては、次のことが予測されます。


@報復が恐ろしい


A教師や親に話してもいじめが解決しない


B自分を「惨めないじめられっ子」と見られたくない

C他の生徒から注目されたくない


また被害生徒が、恐喝などのいじめを受けた結果、万引きや親の金を持ち出すなどの問題行動をしている場合には、この傾向はさらに強まるでしょう。


さらに、学校側にとっては、被害生徒が「仲良し非行グループ」の一員であるのか、集団的・継続的いじめを受けているのかを判別しにくい場合もあるでしょう。

そして、個々の被害事実が発覚したときにも、これが突発的な生徒間事故か、あるいは継続的いじめか、という判別は非常に困難である場合も推測されます。


このように、いじめは、生徒間事故に比べ、継続的に行われる点で、予見可能性が認められやすいと考えられがちですが、いじめの特性からは、その予見が極めて困難な側面があるのも事実でしょう。



(3) 気がつかない責任 


いじめの事実があるにもかかわらず、本来なら気が付くはずであったのに、故意または過失によって、それに気がつかないでいた場合には、学校側にいじめ予見義務違反があるというべきでしょう。


たとえば、学校側が以下の事を把握している場合には明かな予見義務違反と考えられます。



@集中的、かつ、継続的に暴行を受け又は悪戯をされている事実を把握していた

A親から訴えを受け、善処を求められていた


B生徒に長期間の欠席、早退の急増などがある


このような場合には、学校側はいじめに気が付かなかったという抗弁をできなくなります。


また、生徒に長期間の欠席、早退の急増など、いじめの存在が推測される際には、学校側は決してこれを軽視すべきではなく、当該生徒から事情を聴取するなどして、いじめの有無を把握する努力をなすべきであろうと思われます。



3.いじめ対策義務


学校側が被害生徒やその親から救済を求められたり、いじめの被害や現場を発見するなどして、いじめが顕在化した場合には、学校側に具体的、個別的な結果回避義務、換言すれば、

「いじめ防止対策義務」が発生すると考えられています。



(1) 一般的いじめ防止指導

 いじめが顕在化していない状況であっても、学校側にはいじめを防止するための事前的、日常的指導が求められているといわれています。

これは、日常の教育活動の一環としての人権尊重の教育で、以下の法律によって明記されています。



@教育基本法1条


教育基本法第1条は、教育の目的として、「人格の完成をめざし」、「個人の価値」を尊ぶことを挙げています。



A学校教育法21条1項


小学校の教育目標として、次のことが謳われています。

「学校内外の社会生活の経験に基き、人間相互の関係について、正しい理解と共同、自主及び自律の精神を養うこと」

これは中学校及び高等学校においても引き継がれています(51条1項、45条)。

 

したがって、学校側としては、生徒に、いじめが人権侵害であること理解させ、望ましい人間関係を確立するための人権教育を行う必要があると言えます。


この意味で、「いじめの防止の問題はまさに学校側の生徒指導の対象に含まれるものであると考えられます。


(2) いじめ防止対策義務


@いじめ防止対策義務の発生

以下のような場合には、学校側に具体的、個別的ないじめ防止対策義務が生ずることになります。

1)いじめが顕在化し、学校側がこれによる被害の発生を実際に予見していた場合


2)いじめの徴候が具体化し、被害の発生を予見し得る状態にあった場合


A具体的な防止対策義務の内容

いじめ事件に関する判例においては、一般論として、防止対策義務の内容を次のように具体化しています。








イエローページ

Page: 1 |

学校・いじめ ( No.1 )
日時: 2012/10/25 12:08 proxy20019.docomo.ne.jp
名前: ちぃ兄



※続き『安全義務』




関係者から事情聴取などの調査をして事態の全容を正確に把握する

 2)関係生徒に対する個別的な指導・説諭による介入・調整

 3)当事者の所属するクラス、学年、学校全体の問題として生徒に集団討論させ、いじめを根絶する指導を行う

 4)関係生徒の保護者との連携による対応

 5)被害生徒の登校を見合わせる

 6)学校教育法35条の出席停止又は学校内謹慎等の措置

 7)学校指定の変更又は区域外就学についての具申

 8)児童相談所又は家庭裁判所への通告

 9)警察その他の司法機関に申告して、加害生徒をその措置に委ねる。


 深刻ないじめを知った教師の多くは、以上の対策のなかの、生徒に対する指導を中心に何らかの対策を行っているものと予想されますが、その指導の効果は十分とはいえず、いじめの解消に至っていないのが現況です。

その他の対策についても、加害生徒の取り締まりに類するような対策はいじめの抜本的解決にはならないと考えられます。


とはいうものの、これらは、対症療法的な最低限の対策として学校側に課せられた義務と言えるでしょう。

いじめが社会的問題化して、学校側の責任が厳しく問われるようになるに伴って、教師個人や学校がいじめの事実をひたすら隠そうとする体質が生まれているように思われます。

こういうことが為された場合には、明らかに保身のための隠蔽であると言わざるを得ません。

セつまり、学校側はいじめ問題が公になり、その責任を追求されることを恐れるあまり、教師がいじめの徴候を察知しても、見て見ぬふりをして、何らかの防止対策を怠る傾向が在るように思います。 

あるいは、学校内だけで対処しようとして、学校としていじめの事実を保護者などに訴え、協力を呼びかけることをしないのが現状ではないのでしょうか。。

このような事実が明かな場合には、学校側にいじめ防止対策義務違反が認められます。



4.学校の責任の範囲


一般的に、教師の生徒に対する安全義務の範囲は、「学校における教育活動及びこれと密接不離な生活関係」に限られる、とされています。具体的には以下のようになります。


@授業や学校行事などの教育活動中の事故について


A休憩時間・放課後・部活動中での事故について


ところが、いじめ事件の場合は、継続的に行われるといういじめの特性から、このような時間帯による区分が明確ではありません。

また、法律上、不作為による違法を認定することは容易ではありません。

そのため一般的には、学校側の違法性を認定するためには、以下の事が必要条件となります。


@学校側が危険の切迫性を知っていること。


Aまたは知り得べき状況にあって、かつ「その措置をとれば容易に生徒の生命及び健康等の被害の発生を防止でき、しかもそうしなければその結果の発生を防止でき」ない状況にあったこと

このように、学校側にも責任が在りますが、その限界を知っておくことも必要です


(1) いじめの特殊性と学校の責任


@いじめの特殊性(隠蔽性)

いじめが意図的に教師の目を盗んで行われることから、学校側の責任にも限界を認めざるを得ません。

いじめの徴候をいち早く察知し、関係生徒からその実態を正確に聞き出すことは、至難のことであると思われます。

したがって、教師のなし得る生徒の動静把握や事情聴取には限界があるのも事実です。

これを行おうとすれば、現在の学校の状況においては、有形力の行使(警察介入など)や、生徒の管理を強める結果になり、2次的な次のような弊害も発生してしまう懸念も在ります。

「一般に、学校教育という集団教育の場においては、児童が他の児童との接触や衝突を通じて社会生活の仕方を身につけ、成長して行くという面がある。

したがって、学校としては児童間の衝突がいっさい起こらないように、常時監視を行って児童の行動を抑制し、管理しようとすることは適当ではない」

 

A教師の限界

いじめの解決には、心理学・社会学など各方面からの考察も必要とされることから、教師のいじめ防止能力にも限界を認めざるを得ないとされています。

そこで、いじめの解消に当たって学校側は、その能力の限界を認識した上で、保護者との協力や外部の相談期間との連携を図る義務がある

と言われています。



(2) 学校側の責任


@学校側の責任が問われない場合

学校側がいじめを発見できず、あるいは防止対策を講じたにも関わらず、いじめ被害が発生してしまった場合、結果的にいじめ被害を防止できなかったという理由だけで、一概に学校側に安全義務違反があったと判断するわけにはいきません。

1)教師が通常の注意を払って、生徒の動静を観察している限り、いじめを予見できなかったとしても、教師の予見義務違反を問うことは困難であると言われています。


2)学校側がいじめの防止に「積極的に努力している場合には、たとえ執拗ないじめによって被害が発生したとしても、その責任を学校・教師に負わせることは妥当ではないと言われています。


A学校側の責任が問われる場合

ただし、現実には、教師がいじめの徴候を察知し得る状態にあったり、また、実際に察知しているのに、それを放置しているケースも少なくないように思われます。

このような事情が明白な場合には、学校側は安全義務違反の責任を免れ瑠事は出来ません。今後は学校側のいじめ対処能力を一層高めるとともに、学校の能力の限界を前提に、学校側とその他の第三者機関や父母及び父母集団との協力関係の構築が重要な課題となろう。

おわりに

この、「いじめと学校側の責任」というページを作った目的は、いじめ被害が発生した後に、学校側の責任追及をするために設置したのでは在りません。



いじめ被害を訴えても学校側が取り上げてくれない、または対処してくれないという声を良く聞きます。


いじめ被害が無くならないのは、被害生徒がいじめを隠し、堪え忍んでいただけではなく、学校がいじめ事件を隠していたことから生じたものといえるのではないでしょうか。

いじめ被害は、事が大きくならない内に、子どもの肉体的、心理的な傷が小さい内に対処することが肝要であると言われています。

もし、親が子どものいじめ被害を察知し、あるいは確認したとします。


そして、学校側へ対処を求め、早急に解決されれば問題は少ないのですが、そうならない場合も在ります。

その時には、学校側のいじめに対する義務履行の必要性を明示し、学校側の考え方を問いただしても良いのではないでしょうか。

学校側に苦情を言うのが目的なのでは在りません。

目的は、いじめ被害者の早急な救済です。

子どもを守るためには、親は色々な知識を持ち、その解決の為の手段を知っておくべきだと思います。




参考資料

参考1:文部省通知

文初中第386号

                        平成8年7月26日

各都道府県教育委員会教育長

 各 都 道 府 県 知 事 殿

附属学校を置く各国立大学長

            文部省初等中等教育局長

                        辻 村 哲 夫  



文部省生涯学習局長

            
草 原 克 豪




※※※※※※※※※※※※※※※


■次へ3章


   メンテ
Re: 教師による安全義務 ( No.2 )
日時: 2012/10/25 12:29 1.79.7.213
名前: テニス部

長い 読む気なくしました もっと短くかきなさい 読む人のこと考えて
   メンテ
学校・いじめ ( No.3 )
日時: 2012/10/25 13:21 proxy20016.docomo.ne.jp
名前: ちぃ兄





■いじめの問題に関する総合的な取組について(通知)

 
児童生徒のいじめの問題への取組については,平成7年12月15日付け文初中第371号「いじめ問題への取組の徹底等について」をはじめとする一連の通知等を踏まえ,関係者において特段の努力が払われているところですが,依然としていじめの問題は極めて憂慮すべき状況にあります。

文部省としても,これまで,いじめの問題の解決のため,各種の施策を総合的に進めてきたところであり,平成6年7月以来,「児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議」において,いじめの問題に関する総合的な調査研究を行っていただいていたところ,このたび,別添のとおり,「いじめの問題に関する総合的な取組について〜今こそ,子どもたちのために我々一人一人が行動するとき〜」(報告)を取りまとめていただきました。


この報告は,本会議が先に行った「児童生徒のいじめ等に関するアンケート調査」や現地調査の結果等を踏まえ,全ての人々が「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立つことなど,いじめの問題に関する5つの基本的認識を改めて確認した上で,家庭・地域社会,学校,教育委員会,国の具体的な取組について総合的な提言を行っています。


特に,いじめの問題の解決のために家庭が極めて重要な役割を担うこと,また,少なくとも大人の一人一人がそれぞれの立場からその責務を果たすことについて強く述べているところです。

学校については,「子どもの立場に立った学校運営」「開かれた学校」という二つの改善の視点を示した上で

(1)実効性ある指導体制の確立

(2)事実関係の究明,

(3)いじめる児童生徒への適切な教育的指導

(4)いじめられる児童生徒への弾力的な対応

(5)積極的な生徒指

(6)家庭・地域社会との連携協力等

について具体的に述べています。

とりわけ,いじめる児童生徒に対して適切な指導が必要であること,また,いじめられる児童生徒を徹底して守り通すということが強調されています。

また,教育委員会については

(1) 家庭教育に対する支援の充実

(2) 学校での取組に対する支援の充実

(3) 効果的な教員研修の実施

(4) 教育相談体制の充実  

(5) 学校外における多様な教育活動の充実等

について具体的に述べています。

文部省としては,この報告を踏まえ,今後さらに関連施策の充実に取り組むこととしております。

貴機関におかれては,特に下記の点に留意しつつ,本報告に盛り込まれている各種の提言を十分踏まえ,いじめの問題の解決のため取組の一層の充実,徹底を図るとともに,あわせて貴管下の学校及び市町村教育委員会その他の関係機関にこれらの趣旨を周知し,教師をはじめとする関係者の一人一人がこの問題の重大性を強く認識し,自らの切実な問題として積極的に取り組むよう改めて指導の徹底をお願いします。

                              記

A 学校における取組の充実

1 基本的な考え方及び教育指導の在り方

(1) 学校は児童生徒にとって楽しく学び生き生きと活動できる場であることが大切であること。

学校は,いじめの問題の解決について大きな責任を有しており,「子どもの立場に立った学校運営」及び「開かれた学校」を基本姿勢として学校運営の改善を図る必要があること。

(2) いじめは人間として絶対に許されないという認識を一人一人の児童生徒に徹底させなけれなければならないこと。

いじめをはやし立てたり,傍観したりする行為もいじめる行為と同様に許されない,また,いじめを大人に伝えることは正しい行為であるという認識を児童生徒に持たせること。

(3) いじめられる児童生徒やいじめを告げたことによっていじめられるおそれがあると考えている児童生徒を徹底して守り通すという毅然とした態度を日頃から示すこと。

(4)学校教育活動全体を通して,お互いを思いやり,尊重し,生命や人権を大切にする態度を育成し,生きることの素晴らしさや喜び等について適切に指導すること。特に,道徳教育,心の教育を通して,このような指導の充実を図ること。

(5) 学級(ホームルーム)活動や児童(生徒)会活動などの場を活用して,児童生徒自身がいじめの問題の解決に向けてどう関わったらよいかを考え,主体的に取り組むことは大きな意義があること。

(6) すべての児童生徒が自ら参加でき,分かりやすい授業を工夫するなど,個に応じた指導に努める必要があること。また,学習の遅れがちな児童生徒には十分な補充指導を行うとともに,学校行事や部活動等において自己存在感を持つことができる場合が多いことに配慮し,子どもの「心の居場所」となるような学校づくりに努める必要があること。






   メンテ
学校・いじめ ( No.4 )
日時: 2012/10/25 13:26 proxybg057.docomo.ne.jp
名前: ちぃ兄



2 学校運営及び学級経営等の在り方


(1) 各学校において,校長のリーダーシップの下に,それぞれの教職員の役割分担や責任の明確化を図り,全教職員が一致協力して指導に取り組む実効性ある体制を確立する必要があること。

(2) いじめは児童生徒の成長にとって必要な場合もあるといった考えは認められないものであり,個々の教師がいじめの問題の重大性を正しく認識し,危機意識を持って取り組まなければならないこと。

また,教師の何気ない言動が児童生徒に大きな影響力を持つことに十分留意すること。

(3) いじめの問題への取組に当たっては,いじめの多寡以上に,いじめに如何に迅速かつ適切に対応し,いじめの悪化を防止し,早期に真の解決を図るかが大切であること。

(4) 児童生徒に対する親身な教育相談を一層充実させるため,養護教諭等との連携を積極的に図るとともに,教育相談室等の整備をはじめ,児童生徒にとって相談しやすい体制を整えること。また,全教職員が参加する実践的な校内研修を積極的に実施すること。

(5) 会議や行事の見直し等校務運営の効率化を図り,児童生徒や保護者と接する機会の確保と充実に努める必要があること。給食,遊び,清掃活動などを通して児童生徒と触れ合う機会の確保に努めること。

(6) 部活動の本来的機能を生かし適切に運営することは,いじめの問題に対する有効な方策となり得るものであること。部活動指導においては,児童生徒同士の人間関係や一人一人の個性に配慮するとともに,教師が部活動指導の多忙が理由で他の児童生徒との触れ合いを不足させることがないよう,校務分掌をはじめ学校全体として十分に配慮する必要があること。

(7) 児童生徒の仲間意識や人間関係の変化に留意しつついじめの発見や対応に努めるとともに,学校教育活動全体を通して,友情の尊さや心からの信頼の醸成等について適切に指導する必要があること。また,グループ内での児童生徒の人間関係の変化を踏まえ,学級経営やグループ指導の在り方,わけても班別指導について不断の見直しや工夫改善を行う必要があること。

3 いじめる児童生徒又はいじめられる児童生徒への対応

(1) いじめる児童生徒に対しては,保護者の協力を積極的に求めながら,教育的な指導を徹底して行うほか,一定期間,校内においてほかの児童生徒と異なる場所で特別の指導計画を立てて指導することも有効と考えられること。

また,いじめた児童生徒が,いじめを繰り返したり,いじめられる側に回ったりすることのないよう継続して指導すること。

(2) いじめの状況が一定の限度を超える場合には,いじめられる児童生徒を守るために,いじめる児童生徒に対し出席停止の措置

を講じたり,警察等適切な関係機関の協力を求め,厳しい対応策をとることも必要であること。

特に,暴行や恐喝など犯罪行為に当たるようないじめを行う児童生徒については,警察との連携が積極的に図られてよいこと。

(3) いじめられる児童生徒には,いじめの解決に向けての様々な取組を進めつつ,児童生徒の立場に立って,緊急避難としての欠席が弾力的に認められてよいこと



 その際,保護者と十分に連携を図るとともに,その後の学習に支障を生ずることのないように工夫するなど十分な措置を講ずる必要があること。

(4) いじめられる児童生徒又はいじめる児童生徒のグループ替えや座席替え,さらに学級替えを行うことも必要であること。

また,必要に応じて児童生徒の立場に立った弾力的な学級編制替えも工夫されてよいこと。

(5) いじめられる児童生徒には,保護者の希望により,関係学校の校長などの関係者の意見等も十分に踏まえて,就学すべき学校の指定の変更や区域外就学を認める措置について配慮する必要があること。

この場合,いじめにより児童生徒の心身の安全が脅かされるようなおそれがある場合はもちろん,いじめられる児童生徒の立場に立って,いじめから守り通すため必要があれば弾力的に対応すべきこと。

(6) 上記(1)から(5)の措置を講ずることについて,学校,教育委員会,及び保護者は,日頃から十分な共通理解を持っておくことが大切であること。

4 家庭・地域社会との連携

(1) 学校は「開かれた学校」の観点に立ち,日頃から,学校の対処方針や年間指導計画などいじめに関する情報を十分に提供して,保護者等の理解や協力を求めるとともに,各家庭でのいじめに関する取組のための具体的な資料として役立ててもらうような工夫が必要であること。

 また,いじめ等に関して学校に寄せられる情報に対し,誠意を持って対応することが必要であること。

(2) いじめの問題に関し学校と保護者や地域の代表者との意見交換の機会を設けるほか,特にPTAと学校との実質的な連絡協議の場を確保して,積極的に連携を図る必要があること。休日や学校外などにおけるPTA懇談会や保護者面談の開催など,開催時間や開催場所を見直して多くの保護者が参加しやすいように工夫する必要があること。

5 その他

(1) 体罰は学校教育法第11条において厳に禁止されているものであり,体罰禁止の徹底に一層努める必要があること。あってはならない教師の体罰がいじめへの取組に少なからぬ影響を及ぼしていることに留意すること。

(2) 校則は,学校の責任と判断において決定されるべきものであるが,児童生徒の実態,保護者の考え方,地域の実情等を踏まえ,きめ細やかで「個に応じた生徒指導」という観点から,より適切なものとなるよう絶えず見直しを行う必要があること。

B 教育委員会における取組の充実

1 家庭・地域社会との連携

(1) 家庭教育を支援するため,様々な学習機会や情報の提供,相談体制の整備,ボランティア活動など親子の共同体験の機会の充実,父親の家庭教育への参加支援など家庭の教育機能の充実を図る施策を計画的に推進すること。その際,家庭教育の意義に関心を示さない,あるいは,学校との連携に協力的でない保護者などへの方策について,子育てのネットワ−クづくりの推進などきめ細やかな施策が望まれること。

(2) 児童生徒が,学校外で豊かな生活体験を積み,健全な人間関係を育てていくため,青少年関係団体等とも協力しながら,学校外における多様な体験活動や集団活動の機会を積極的に提供していくことが必要であること。

(3) いじめの問題の解決のため,子どもたちに様々な社会体験,生活体験,自然体験を得させることを目的とした青少年団体やスポーツ団体などの各種団体の活動の一層の活発化,民間活力を生かした各種のプログラムの展開など,各地域の実情に応じ,創意工夫を生かした活動が積極的に展開されるよう,教育委員会としての支援策を積極的に講じること。

 特に,地域を挙げた様々な取組がなされるよう,教育委員会として地域の関係団体や機関などに積極的に働きかけること。




   メンテ
学校・いじめ ( No.5 )
日時: 2012/10/25 14:01 proxybg052.docomo.ne.jp
名前: ちぃ兄



■教師による『安全義務違反』の判例



(中野富士見中学校いじめ自殺事件・東京地判1991(平3)・3・27日 判時1378号26頁より)



中野・富士見中学いじめ自殺事件
(=葬式ごっこ事件、鹿川裕史君いじめ自殺事件)




【事件概要】

 1986年2月1日、岩手県の盛岡駅ビルのショッピングセンター「フェザン」のB1トイレ内で、東京中野の富士見中学2年の鹿川裕史君(13歳)が首を吊って自殺しているのが発見された。遺書が残されており、彼の自殺がいじめによるものだと判明した。いじめは日常的に行われており、”葬式ごっこ”なるいじめには教師も参加していた。


富士見中学校の生徒と教師


【鹿川君について】

 鹿川裕史くんは生地問屋に勤めていた父・雅弘さんと、母・みどりさんの第一子として、1972年3月10日に生まれた。「裕史」という名は母方の祖父がつけてくれたもので、「裕」は心の広いさまを表す漢字だという。翌年には妹も誕生した。
 
 1984年4月、富士見中学に進学。


【いじめの光景】

 1985年4月、2年に進級した鹿川君はそれまで仲の良かった友達と別々のクラスになった。だが富士見中学は生徒の9割以上が区立の中野神明小学校から入ってくる。仲の良い生徒でなくても、互いによく知ったクラスメートたちだった。
 鹿川くんはごく自然にクラス内のグループと親しくなっていく。だが温和で152cmと小柄な鹿川君は買い食いのために店に走ったり、下校時にバッグを持たされるという役回りとなった。いわゆる「パシリ」(当時はツカイッパ)である。7月下旬には担任のF教諭が父・雅弘さんに「裕史くんが仲間の使い走りをさせられているようですよ」と連絡している。このF教諭は定年を数年後に控えたおとなしい教師で、いじめの事実を知っていても生徒たちに強く指導することはなかった。

 グループ内で下手に出ていた鹿川君に対するいじめは次第にエスカレートしていった。いじめのグループは2年A組だけではなく、B組に1人、D組に3人など複数のクラスにまたがって存在していた。遺書(下記)で名指しされていた2人は同じA組の主犯格である。
 プロレスごっこの投げられ役など、鹿川君を「サンドバッグの状態だった」と話す生徒もおり、彼らから見て、鹿川君は「何をしてもいい」存在になってきた。

 10月1日、鹿川君はフェルトペンで顔にヒゲを描かれ、廊下で踊らされる。この時、通りかかった教師が間に入って注意している。いじめは他にモデルガンの標的、積み上げられたイスと机に閉じ込められる、野球拳を強要して服を脱がせる(鹿川くんの相手はジャンケンで負けても服を脱がず)といったことが行なわれていた。

 10月はじめ、グループはバンドを結成する。鹿川くんはボーカルとドラム担当だった。ただしマネージャー兼務。ここでもパシリ扱い的で、3年生の指導を受ける際には、鹿川君を「使う」メンバーは倍増した。この頃から鹿川くんはうつむき加減で多くなっていた。

 10月15日かた17日まで、鹿川くんは家出をする。家出の理由ははっきりしないが、F教諭に「お父さんが怖い」と言った。

 そして11月には葬式ごっこが行われるのである。


【葬式ごっこ】

 11月14日と15日、2Aのクラスでは鹿川君が死んだことにして、色紙を書き、教室で花や線香をあげるという「葬式」をした。これはある生徒の「鹿川が死んだことにしようぜ」と言い出したことから始まり、昼の人気番組「笑っていいとも」の「安産コーナー」をヒントに、生と死を逆にして考えられたものである。
 黒板の前には鹿川君の机が置かれ、そこには飴玉やミカンが並べられ、遺影と見たてて鹿川君の写真と牛乳ビンにさした花も置かれていた。その横の色紙には「鹿川君へ さようなら 2Aと その他一同より 昭和60年11月14日」と書かれており、クラスの生徒の署名や寄せ書きがあった。寄せ書きには「バーカ」「いなくなってよかった」「バンザイ」「ざまあみろ」などと書かれており、教室に掲げられていた鹿川君の係の名札を、「もう死んだ人だから」と、黒マジックで塗りつぶした。

 当時、鹿川君はスケートボードで足に怪我をしており、遅刻が多く、この日も遅れて教室に入ってきた。自分の机を見るなり、「なんだ、これー」と言って、笑いを浮かべたが、やがて黙り込んでしまった。
 鹿川君はこの色紙を持って帰宅。キョトンとした様子で家族にこう言ったという。
「これ見てどう思う?ここに先生も書いているんだよ!」

 また鹿川君はのちに仲間に「俺、1度死んだんだよ」と漏らしている。鹿川君は以前からシカト(無視)されてもいた。こうした葬式ごっこはシカトの延長であり、彼のショックは相当なものだったというのは想像するにたやすい。しかも、葬式ごっこには担任ら4人の教師まで参加していた。教師らは生徒に「ドッキリだから」と言って頼まれて署名していた。この時点で、いじめだと気づいていたのか気づかなかったかは知らないが、教師の立場として悪ふざけが過ぎているというのは普通の神経の持ち主なら誰でも理解できることだろう。
 

【終わらないいじめ】

 11月26日、鹿川くんがグループの3人と一緒にいたとき、1年生の男子が鹿川君に「お前は弱虫だ。俺の方が強い」と言ってきた。この時、一緒にいた生徒に「おまえ、悔しくないのか」と言われ、鹿川くんは1年生とタイマンを張る事になった。取っ組み合いとなり、双方とも大きなケガはなく終わったが、帰宅した鹿川くんの傷を見て雅弘さんが問い詰めた。鹿川くんは一緒にいた3年生の名前だけをあげた。雅弘さんはすぐにその3年生のところに抗議に行った。この後、「チクった」鹿川くんはグループの数人に殴られることになった。

 11月28日、鹿川君がA(主犯)から渡された1000円でジュースなどを買ってきた後、残り650円を渡さないまま、次の遊びに移った。Aは数日後、鹿川くんに問いただすと「使ってしまった」と言った。Aは鹿川君を南部青年館の空き部屋に連れこみ殴りつけた。
 この一件については鹿川君は父親に話さなかったが、雅弘さんは断片的な話からA宅を訪れ、「あんたの息子をよく監視してくれ。これ以上、息子にまとわりついたら、何が起きるか、わからんぞ」と激しく言った。Aの母親は「友達同士のことでしょう」と言い返している。
 その後、鹿川家にかかってきた電話が「鹿川裕史、殺してやる」と言ったきりで切れた。グループで鹿川くんに対する筋違いな報復があったともされる。雅弘さんは12月にも1度、A宅に抗議に行っている。雅弘さんの抗議の効果か、12月中旬頃、グループ内で「もう(鹿川君へのいじめは)やめようや」という声が上がった。

 年が明けて1月1日、鹿川くんはグル―プ仲間と高尾山へ初日の出を見に行っている。自殺後、現像されたこの時の写真の鹿川君は笑ってはいないが明るい表情だった。
 また自宅にはグループの1人から、「ふろはいれよ あたまあらえよ きくもんあらえよ また来週!」という内容の年賀状が届いた。F教諭からのものもあり、「謹賀新年 61年 僕こそ今年よろしくお願いします。それより、君自身が立派な人格を持った、自己主張のできる、けじめある青年に成長することです。おたがいにガンバロ!」と書かれていた。

 だが3学期になっても、鹿川君へのいじめはつづいた。
 始業式の日、校舎階段の踊り場でグループの8人に暴行を受ける。さらに鹿川君が血のついたカッターシャツを脱ぎカバンに隠して帰ろうとしたところ、校庭で3年生の1人に殴られる。

 こうした悲惨ないじめから逃れるためか、鹿川君は10月あたりから、欠席が目立つようになる。それまでは月に1日あるかないかの欠席が、10月に6日、12月に8日、1月に11日にのぼっている。欠席の日は朝に家を出てから、病院の待合室などで時間をつぶしていたらしい。登校した日も職員用トイレに隠れたり、保健室で休養することが多かった。

 6日ぶりに登校した22日、体育の授業中、職員室前のプラタナスの木に登らされ、揺さぶられた。さらに3年生2人に言われ、サザンオールスターズの歌を歌わされた。

 鹿川君の父・雅弘さんはすでにいじめの事実を知っており、10月から11月にかけて担任にやめさせて欲しい」と相談を持ちかけ、学校でもいじめに関係した生徒や親に「人の心を傷つけるからやめてほしい」と注意した。
 一方で教職員も3学期になって初めていじめの現場を目撃していた。始業式の日の校庭での暴行を教頭が目撃している。教頭は鹿川君と加害生徒に電話をかけたが、双方とも事実を否定したため放置した。翌日から鹿川君が欠席するようになっても、教頭、担任は「ズル休みかな」という程度の認識だったという。

 鹿川君が最後に登校した1月30日、5時間目が始まる午後1時過ぎに顔をだした。だが授業中に廊下に出ていたため、2年生の教諭が教育相談室に連れていき、3、40分話をした。その中で鹿川君はカバンを持たされているとか、買い物を言いつけられている、といった悩みを打ち明けた。
 下校時間が近づくと、その教諭は担任を通して母親に連絡を取らせ、学校に迎えに来たと母親を交えて話した。この時、担任のF教諭は鹿川君に転校をすすめている。しかし鹿川君は転校にはまったく興味を示さなかったという。その間、鹿川君を探していたグループ3人は彼のスニーカーを便器の中に捨てていた。話が終わると鹿川君は一緒に下校した。鹿川君、両親に「もういやだ」ともらす。

 翌1月31日朝、鹿川くんは家を出たままその後行方がわからなくなった。雅弘さんは池袋、新宿のゲームセンターや音響機器店を探しまわったが、とうとう見つからなかった。

   メンテ
学校・いじめ ( No.6 )
日時: 2012/10/25 14:23 proxybg034.docomo.ne.jp
名前: ちぃ兄


■教師による『安全義務違反』の判例


※続き


 翌日、職場近くの喫茶店で同僚と打ち合せをしている時、窓の外に赤いセーターを着た少年を見かけた。走り去る少年の後ろ姿を見て、「あ、ヒロじゃないか」と言った。しかし、鹿川君は池袋ではなく、もっと遠い場所にやって来ていた。


【死に場所】

 鹿川君がたどりついたのは岩手県盛岡市だった。父親の実家が岩手県にあり、かつて父親に連れられて来た事があった。

 2月1日、鹿川君は盛岡市の中心部をさまよい歩いた後、国鉄盛岡駅の駅ビル「フェザン」の地下1階トイレの洋服掛けのフックにビニール紐をかけ、首を吊った。



■少年の書き置き

※※※※※※※※※※※※※※※


家の人へ そして友達へ

突然姿を消して申し訳ありません
(原因について)くわしい事については
・・・とか・・・とかにきけばわかると思う

俺だってまだ死にたくない。
だけどこのままじゃ「生きジゴク」になっちゃうよ。
ただ俺が死んだからって他のヤツが犠牲になったんじゃ、
いみないじゃないか。
だから、もう君達もバカな事をするのはやめてくれ、
最後のお願いだ。

昭和六十一年二月一日
                         鹿川裕史



 

 「フェザン」は午後9時に閉店したが、トイレのドアが閉まったままなので不審に思った警備員がのぞき、発見した。鹿川君の遺書はトイレの床に置いてあった。制服のポケットには生徒手帳が入っており、それらから身元が判明し、その夜に雅弘さんに連絡が入った。

 鹿川君が持っていた通学バッグの中には私服の着替え、折りたたみの傘、年賀状2枚、写真3枚が入っていた。また家を出た前日に雅弘さんから貰った池袋サンシャイン60展望台の入場券3枚のうち1枚を持っていたことから、家を出た後サンシャインを訪れていた。鹿川君が家出をするつもりだったが気が変わったのか、最初から死ぬために岩手に向ったのかはわかっていない。岩手の鹿川君の叔父は「裕史は最後の2日間、生と死の間を揺れ動いていたと思う。電車内でも心は彷徨を続けていただろう」と語った。

 2月3日、鹿川君の遺体は岩手県石鳥谷町で火葬に付された。妹が「お兄ちゃん、行っちゃやだあ」と、棺にとりすがった。遺骨は5日夕方、東京の自宅に戻った。


【教師たち】

 事件直後、富士見中に電話をかけた取材記者と校長の間で次のような問答が行われた。

―自殺の原因を思い当たらないか
「わからないが、いじめられたことは聞いている」

―それが原因か。
「かも知れない。それも考えられる。が、いじめといっても、仲間同士のプロレスごっこや、使い走りをさせられてる程度だ」

 校長はこの時点でいじめの事実を聞いていた。「プロレスごっこや使い走り程度」と言った校長は、実際にそういった報告を受けていたのだろう。直接、生徒に関わることの少ない校長が詳細を知らないのも無理はない。
 いじめを受けた子供というのは、本人から自分の受けたいじめを大袈裟に言うことは少ない。ありのままのいじめの事実を話すと、自分の人間としての尊厳が揺らいでくるからだ。屈辱的ないじめを受け続けた鹿川くんは1月30日に「カバンを持たされた」とか「買い物を言いつけられた」といった比較的、軽いいじめのことしか話さなかった。

 担任のF教諭はどうだったか。自殺直後、記者会見で次のように語っている。
「(仲間からの仕打ちに対する)屈辱感がやりきれなかったのではないでしょうか。精神的にまいっていたし、どちらかと言えば気の弱い子でしたから」

「仲間の使い走りをさせられる、一緒に騒ぎを起こさせられる、ふざけた行為を強いられる、など精神的な圧迫が主だったようです」

「殴る蹴る、は少なかった」

「鹿川くんもにやにや、へらへらしていた」

 葬式ごっこについて尋ねられると、「当時『ごっこ遊び』がはやっていたから、重視しなかった」とも話している。だが一方で、2月5日、2Aの生徒全員に「色紙への署名はしなかったことにしてほしい」と口止めしていた。
 F教諭は以前、いじめの主犯の1人に殴られて肋骨を痛めたことがあり、それから生徒たちになめられるようになった。授業中に生徒が騒いでも、知らぬふりをしていたという。


【事件後】

 

鹿川君の死からまもない2月12日、2Aの隣りのクラス2年B組でひとつの事件が起こった。


 B組の生徒L(当時14歳)が授業中に理科の教師から注意を受けたことを前の席のMに八つ当たりし、「お前は鹿川二世だ。鹿川のように自殺しろ」、「オレと喧嘩しろ」などと、3、40回こづき、さらにその前の席のNを殴った。

さらにLはMを何度も殴り、Mは「先生助けて」と教師に助けを求めたが、教師は気にせず、黒板に字を書きつづけていた。

たまりかねたMは、Lに掴みかかり取っ組み合いとなった。この時、教諭はようやくMを止めに入る。Mは「先生あんまりだ。

Lを殺して、俺も自殺してやる。刃物を買ってくる」と300m先の金物店に走っていった。教諭はあわててMの後を追いかけ、金物店の手前でMと言い争うかたちとなった。

それを警官が見つけて事件発覚、Lは暴行の疑いで逮捕された。


 また鹿川君の遺書で名指しされた2人の生徒は――自業自得ではあるが――、ショックを受けていた。そのうち1人は関西地方にある宗教団体の本山を訪ねている。

 責められたのは加害者側だけではない、鹿川家には「どうして親が知らなかったのか」「あの家庭なら子どもが自殺して当然」「裕史が死んで良かった」というようないやがらせの電話が相次いだ。


【処分】


 事件から2ヶ月、東京都教育委員会は、担任のF教諭が無届で学習塾アルバイトをしていた件も併せて問い論旨免職。さらに校長と教頭、葬式ごっこに参加した4人の教師らに減給処分を下した。「単なるいじめだと思っていた」という教師や校長の話に対して、行政側はそれを認めず、「いじめ」と断定したうえでの処分だった。処分された教師のうち、校長と2教諭は数年後の定年を待たずに3月末で依願退職している。

 4月、警視庁と所轄の警察署は、日頃から鹿川くんのいじめに加わっていた16人の生徒を傷害や暴力行為で書類送検した。

 6月、鹿川君の両親は東京都と区、それに主立っていじめに加わっていたAとBの2人の両親を相手に、2200万円の損害賠償請求を起こした。
 9月、東京地裁はAとBに保護観察処分を言い渡している。

 1991年3月27日、東京地裁はいじめと自殺の因果関係、予見可能性を認めず、いじめの存在そのものも否定。
「これらはむしろ悪ふざけ、いたずら、偶発的なけんか、あるいは仲間内での暗黙の了解事項違反に対する筋をとおすための行動又はそれに近いものであったとみる方がより適切であって、そこには集団による継続的、執拗、陰湿かつ残酷ないじめという色彩はほとんどなかった」
 証人として校長、教頭、担任、養護教員も出廷し、いじめの存在とその緊迫感を否定した。AとBのいじめというよりも家族仲に問題があるとされ、遺書の「バカなことをするのはやめろ」というのは両親に対して、「他のやつ」は妹のこと、というような解釈できると主張した。

 1994年5月20日、東京高裁は「(いじめは)通常人であれば屈辱感など心理的苦痛を感じないことはあり得ない」といじめの事実と被告の責任を認め、都と区、同級生2人の4者に1150万円の支払いを命じた。





≪参考文献≫

朝日新聞社 「昭和史の謎 檄文に秘められた真実」
飛鳥新社 「嫉妬の時代」 岸田秀
WAVE出版 「あなたは子どもの心と命を守れますか いじめ白書」 武田さち子
太田出版 「自殺の思想」 朝倉喬司
角川書店 「このままじゃ生きジゴク 子どもたちはなぜ死を選ぶのか」 宮川俊彦
河出書房新社 「現代日本殺人史」 福田洋・著、石川保昌・編
作品社 「10代の遺書 昭和〜平成・自殺流行史」 下川耿史
時事通信社 「時事ニュースワード 1995-1996」 時事通信社・編著
社会思想社 「20世紀にっぽん殺人事典」 福田洋 
集英社 「いじめの光景」 保坂展人
春秋社 「子どもの犯罪と死」 山崎哲 芹沢俊介 
春秋社 「平成『事件』ブック」 山崎哲
新潮社 「新潮45 02年8月号」 →「ドキュメント『いじめ』」上條昌史
青弓社 「『感情』をなくす子どもたち」 青木信人 
草思社 「せめてあのとき一言でも いじめ自殺した子どもの親は訴える」 鎌田慧 
草土文化 「いじめ・自殺・遺書 『ぼくたちは生きたかった』」 子どものしあわせ編集部・編 
東京出版 「葬式ごっこ」 朝日新聞社会部
東京法経学院出版 「明治・大正・昭和・平成 事件犯罪大事典」 事件・犯罪研究会・編
日本文芸社 「『命』の値段 自殺から殺人、事故死、過労死まで―――死の経済学」 内藤満・監修
批評社 「学校の中の事件と犯罪 2」 柿沼昌芳・永野恒夫 編著
風雅書房 「『葬式ごっこ』 八年後の証言」 豊田充・著 五味彬・撮影
毎日新聞社 「いじめ緊急レポート 死んではいけない」 TBSテレビ『みのもんたの朝ズバッ!』編 
毎日新聞社 「シリーズ20世紀の記憶 かい人21面相の時代 山口百恵の経験 1976-1988」





   メンテ
Re: 教師による安全義務 ( No.7 )
日時: 2012/10/25 14:25 1.79.7.213
名前: テニス部

だから長い 何が言いたいの スクロール大変
   メンテ
No.7に対する返信 ( No.8 )
日時: 2012/10/25 17:41 58.3.81.128
名前: クロ

> だから長い 何が言いたいの スクロール大変

確かに…長い文章だね
論文みたい。多分…イジメが起こった場合、どうなるかって
話じゃないかな?

   メンテ
Re: 教師による安全義務 ( No.9 )
日時: 2012/10/25 17:43 183.72.146.160
名前: レイ

長いでしょうか?
むしろ勉強になりますよ♪
文章読むの好きです!
   メンテ

Page: 1 |


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